第3話 サンブルク王国の姫君

 女神ヴィアンテ様の手から放たれた光が治まると、俺はどこかの建物の中にいた。


 見たところ、ちょっと高級そうな建物な感じだ。



「お待ちしておりました。あなたが勇者様ですね?」



 辺りをキョロキョロと見回していたら、俺の背後から近づいてきた女の子に声をかけられた。


 歳は俺と同じくらいかな?結構かわいい。


 髪の色がいかにも異世界っぽく、薄いピンク色だ。


 俺の世界じゃこんな色の髪、染めている以外にありえないが、この子の髪はなんて言うか、とても『自然』に感じられる色だった。


 その美しい髪をポニーテールに結っている。


 薄ピンクの髪色も特徴的だが、それ以上に主張の激しいのがその胸だ!


 俺と同じくらいの年齢に見えるが、少なくとも俺のクラスメイトにこんな巨乳の同級生は存在しない!!



「あの………勇者様……ですよね?」


「えっ?あ、あぁ、はい!そ、そうです!」



 危ねぇ、彼女の巨乳に見とれて上の空だった。



「はじめまして、私の名はラマニア・サンブルク。この国、サンブルク王国の国王の娘、第一王女でございます」


「お、お姫様!?」


「はい。ですが、お気になさらないでください。あなたは勇者様なのですから」



 え、勇者ってお姫様より偉いの?


 まぁ、礼儀正しい作法とか言葉遣いとかわからないし、普通に話していいならそっちのほうが助かる。



「して、勇者様のお名前をお伺いしてもよろしいですか?」


「あ、あぁ、隼瀬倫はやせりんです。あ、えぇと、外国風に言うなら、リン・ハヤセって感じかな?」


「リン様ですね?よろしくお願いいたします」


「あぁ、うん、よろしく。ラマニアさん」


「私の事はお呼び捨てで構いませんよ」



 どこまでも礼儀正しいラマニア。


 ヤバい、なんかドキドキしてきた。



「それではリン様、早速で申し訳ありませんが、『炎』の鎮火に参りましょう」


「わ、わかった。君……ラマニアが俺の協力者って事なんだよね?」


「その通りでございます。私が聖なる門、『聖門ミリオルド』を開けている間に、リン様の『聖塔ミティック』で『炎』を消して頂きたいのです」


「ミティック?『聖なる塔』とは聞いていたけど、それが正式な名前?」


「はい。勇者のみが扱える聖なる塔、『聖塔ミティック』。そして限られた一部の乙女だけが開く事のできる門、『聖門ミリオルド』を通して、その向こう側の悪しき『炎』を鎮火するのです」



 『聖塔ミティック』に『聖門ミリオルド』ね。


 どんどん専門用語みたいなのが飛び出してきて、いよいよそれらしくなってきた。



「ではリン様、スペルマップをお出しください」


「あ、あの女神様が出してた立体地図?俺も出せるの?」


「はい。『スペルマップ』と唱えて頂ければ出るはずです」


「よ、よし。『スペルマップ』!!」



 俺が唱えると、女神様が出して見せたように立体地図が現れた。


 さっき見せられた時と同じく、街の1ヶ所から黒い煙のようなものが出ている。



「ここが『炎』の現場なんだな?」


「はい!急いで向かいましょう!!」



 俺達は出会ってまだ数分程度の相棒だが、こうして初めての鎮火作業に出動する事となった。

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