第56話 金欠
「巫女様、もうお金がありません」
ダムは私にそういってきた。
ついにこの時が来たか。
「ですが、この聖水と勾玉がなければ、邪気を払えずにあなたは死んでしまいます」
「ですが本当にお金が無いのです」
「ならば身の回りの物を売ればいいだけです。場合によってはこの屋敷を売り払うことになるでしょう」
「そんなこと言わないでください。それでは住む場所が無くなります」
「死ぬよりはマシです」
「他に邪気を払う方法はないんですか」
「そんな都合の良いことなどありません」
ダムはうろたえた。
私はそこに追い打ちをかける。
「わかりました。では明日にでも死んでください」
私は怒りながら屋敷を出ていった。
次の日、私はマッドと会った。
「どうやらモンドは巫女のことを探っている。用心したほうがいい」
「わかりました」
「それでそっちは上手くいっていますか?」
私はマッドに訊いた。
「ああ、モンドの手下に偽の情報を吹き込んどいた。今頃モンドが怒っている頃だろう」
マッドの予想通りモンドは怒っていた。
「なんだと!もう一度言ってみろ!」
「ですから、ダム様はモンド様のことはもちろん、バラガン様の今までの悪事を打ち明けるつもりなのです」
「なぜ急にバラガン様を裏切るようなことを。やはり例の巫女のせいか」
「モンド様、どうされますか?」
「今夜ダムの屋敷に奇襲をかける。寝込みを襲い口封じをするんだ」
「わかりました」
そしてその夜、モンドの手下がダムの屋敷に忍び込み、ダムを口封じに殺した。
「やはり巫女様が正しかった・・・」
ダムは死に際そういって死んだ。
ダムを殺したあと、モンドは巫女が捕らえるため、ダムの屋敷の周りに厳重な警備を敷いた。
しかし巫女は現れなかった。
私、佐藤明美はこの度転生しました ふくしま犬 @manonakiri
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