第17話 内臓
その店は、町はずれにある飲食店だった。
「こんにちは。この度依頼を受けてギルドから来ましたモモコです」
店に入るとおじさん店主が出てきた。
「おお、来てくれたか。ありがとう」
店主は私を見ると驚いた表情をしていた。
「それにしても若いな。何歳だい?」
「十歳です」
「そうか。まあ仕事に年齢は関係ないからな、頼むよモモコちゃん」
その後店主からこの店の様子を聞いた。
以前はそれなりに繁盛していたのだが、町の中心部に多くの飲食店が参入したため、立地の悪いこの店から客足が遠のいたというのだ。
「それでこの店では何を売りにしているのですか?」
「それはね」
そういって、店主は厨房から料理を持ってきた。
「もしかしてこれはカルビですか!!」
「そうだ。近くの農家と契約を結び、この店では馬肉を中心に提供しているんだ」
馬肉か・・・。私は少し考え込む。
もしこの店が卵料理店だったら、前世の知識を利用してケーキを提案するつもりだった。
けれど、肉ならば焼くしか思いつかない。さてどうしたものか・・・。
お腹が空いていた私は、店主に尋ねた。
「すいません、ハラミもいただいていいですか?」
ハラミは前世の私が一番大好きだった肉だ。
しかし店主は首を傾げるだけだった。
「ハ、ハラミ・・・?何だねそれは?」
「えっ!?!?!?」
私は思わず声をあげた。
「ハラミはハラミですよ。内臓なのに臭みもなく、やわらかくて食べやすいあのハラミですよ!!」
「内臓・・・だと・・・」
店主は思いっきり嫌な顔をした。
「内臓なんて食べられるわけないだろ!」
「いいえ、食べられます!そしてとてもおいしいです!!」
この時、私にはいいアイデアが思い浮かんだ。
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