第16話 次の依頼

ギルドへ戻ると、ちょうどギルド長と出会った。


「モモコちゃん、依頼はどうだったかな?」

「はい、しっかり達成してきました。これが証拠です」

私はおばあちゃんのサインが入った紙を見せつけた。


「おお、初めてにしてはよく頑張ったね。その調子で頑張れ!」

「ありがとうございます」

私はぺこりと頭を下げた。


ギルド長は私が国司をひと泡吹かせたことなんて知る由もないだろう。まあ、それでいいんだけど。知られたら面倒くさいし。


私は受付に行った。

「報酬を受け取りに来ました」


最初は驚いたようにしていた受付嬢だったが、依頼内容を見て合点がいった様子だった。


「はい、じゃあこれが報酬の二ギーロね」

私は硬貨を二枚貰った。



目立たちたくないので簡単な依頼を受けたが、この調子でいけば、十六歳になるまでに入学金を稼ぐことは出来ないだろう。


かといって高難易度の依頼を受けるわけにもいかない。


「とりあえず今は簡単な依頼だけにしておこう」


掲示板を見ながら、私は次の依頼を手に取った。


それは『経営困難な私の店を何とかしてほしい』というものだった。


「家庭科オール五の私にかかれば、こんな依頼朝飯前よ」


私はギルドを出て行った。





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