第15話 初依頼達成
ナギルは巻物を読み終えると、「以上がバラガン様の命です」と付け加えた。
話の途中ダムは一瞬安堵したようにも見えたが、結局は今回のバラガンの怒りを買ったことに震え上がっていた。
「明日には別の者がこちらにやってきてこの者らから年貢米を徴収するよう言っときますので、ダム様はお戻りください」
「わ、わかった。後は頼んだ」
青ざめた様子でダムは帰って行った。
ようやく緊張から解き放たれ私は大きく息を吐いた。
「やった。おばあちゃん、これでもう大丈夫だよ」
「えっ、明日には別の人が来るんじゃないのか?」
「それは嘘なんです」
おばあちゃんの目が大きくなった。
「それじゃあこのナギルさんは?」
「それも実は私が用意した全くの別人なんです。昨日町で見つけた人にようやくお願いしてやってもらったの」
私はおばあちゃんを見ていった。
「だからおばあちゃんはもうあの国司から年貢米を徴収されることはありません」
「モモコ、本当にありがとね。ばあやは嬉しいよ。それにこんなことを考えついてしまうなんて、恐ろしい子供だよ」
「おばあちゃん、それほめてる?」
「ああ、もちろんじゃ」
そして私はお米を少し貰って、おばあちゃんのもとを立ち去った。
「それにしても巻物を読み終えた時の国司の顔、傑作だったなぁ」
あの顔を思い出すと、笑いが込み上げてきた。
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