第12話 年貢米

「これはダム様。何の御用ですか?」

おばあちゃんが頭を下げた。それに合わせて私も一応頭を下げる。


後で聞いた話だが、この人はこの地域の国司らしい。


「再び年貢米を納めてもらうことになった」

「待ってください。年貢米なら先月しっかりと納めましたよ」


年貢米とは農民が国に払う税金のことだ。


「それがだな、何者かが私たちの蔵から米を盗みだしたのだ」


「そんな・・・。でも去年作ったお米はもう残っていません。他は全て生活費のために市場に売りに出してしまいました」


「そっちの都合など知ったことか。とにかく買ってくるかどうにかして、年貢米を納めろ。期限は二日後だ。わかったな」


「ダム様、私にはそのお米を買うお金すらありません。どうか今回はお見逃しください」

おばあちゃんが頭を下げる。


「別に見逃してやってもいいが、土地を失って困るのはそっちではないか?」

「・・・」

「土地を失うか、年貢米を納めるか。すでに答えは出ていると思うがな」

ダムは不気味な笑みを浮かべた。


「そもそも年貢米を盗まれたのはそっちの責任でしょ」

我慢できなく、つい私はいってしまった。


「なんだこの生意気なガキは。今なんていった」

「だから、盗まれたのはそっちの責任で、おばあちゃんは何も悪くないっていったの」


「この私が悪いと?」

「そう」


するとダムは高らかに笑った。


「気が変わった。今回の年貢米はいつもの二倍納めろ」

「・・・!?」

「確かにこのガキの言うことも一理ある。またで米が盗まれるかもしれない。だからいつもの二倍納めさせることにした」


まずい、私が変に出しゃばったせいで年貢米が二倍になってしまった。


「ちょっとまっ―――――」

「とにかく、期限は二日後だ。それまでに用意しろ。それと変なことは考えない方がいい。なにせ私の後ろにはバラガン様がついている」


バラガン!?!?


そう言い残してダムは戻っていった。



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