第13話 フル回転

その日の夜私はおばあちゃんの家に泊まった。


「田植えの依頼は終わったんじゃから、モモコちゃんは帰って良かったのに」

「いえそれはできません。私のせいで納める年貢米の量が二倍になったのに私だけ帰れません」


この問題は私が何とかして解決しなければならない。


一番手っ取り早い策は私があの国司を魔法で倒すことだ。


しかしそれでは、私のことがバラガンに知られてしまうだろう。それだけは避けたい。


「私が明日中になんとかお米を集めます。ですからおばあちゃんは何も心配しなくて大丈夫ですよ」


そういって私たちは眠りについた。




次の日、私は一人市場に来ていた。目的はお米だ。


けれどどれも値段が高く、自分のお金では買えないほどだった。


「さて、どうやってお米を集めようか・・・」

私は前世の知識をフル回転させる。


作戦その一

国司の蔵から米を盗んできてそれを年貢米として納める。

→結局米が盗まれているので、納めたとしてもすぐに催促が来る。


作戦その二

俵の中身の半分を砂利にして誤魔化す

→その場で確認されたら終わり。


作戦その三

やっぱり今日中に米をなんとか集める。

→うん。無理だよね。




いろいろ考えているうちに、ふと頭に一つのアイデアが浮かんだ。


「そもそも米を集めなくてもいいのでは」


そして私は走り出した。







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る