平成に、取り残されて。
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時が過ぎれば、さっきの出来事も思い出になる。
ということで、今日の”思い出道楽”は、つい最近の話です。
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平成が終わるーー。
元号が変わると聞いても、私にとっては世の中のフィーバー(死語?)ぶりほどの感慨はなかった気がする。
天皇陛下(現上皇陛下)は好きだったし、令和という新元号もいいとは思うけど。
今年、平成最後の年が明けて、いつものように年賀状が来た。
毎年、今年こそは会おうねと書き合ってるのに、何年書き合ってもなかなか会えない人たち。
実はこの1、2年、私はそういう人たちといい加減なんとか会わなきゃなと思い始めていた。それなのに、今や年の功で(?)記憶も3年分で昔の1年分くらいな感覚なので、本当に会いたいと思い始めて数年経っても、思うだけで実際に行動を起こせてないのだと自覚できずにいたみたいだ。
そんなこんなの今年、年賀状を見ている自分が、焦りのようなものや漠然としたさびしさを感じてることに気づいた。
なんとなくだったその感覚に促されて、あらためて確かめてみると、いつもの面々の文面に「会いたいね」「会おうね」の文字がない。
さらには、お正月モードから通常モードに切り替わって、パラパラと遅れて届く年賀状も一段落したころ、あれ?と思って確かめると、これまた今年こそは彼の地を訪れる際に絶対に連絡しなくちゃなと思っていた友人からの年賀状が来てなかったことが判明した。
切られた??
なんか、ズキッと来た。彼女は、彼の地の友人たちを束ねてくれてる人で、私が行く時に連絡するとみんなを招集してくれるポジションだった。
ということは、今後、私はその全員と会えなくなったということ?
彼女を飛び越えて、ほかの個々の人たちと連絡を取るのは、何となく気が引ける。だとすると、そういうことになりかねない。
いやいや、でも、たまたま今年は忙しくて、年賀状が出せなかっただけかもしれないし。そこまで想像を膨らませるのはまだ早い、と、とりあえずそれ以上考えないことにした。
その後、スマホを変えて晴れてLINEを入れたので、前からLINEやりなよ〜と私に勧めていたその子に、いの一番にLINE入れたよ〜と連絡した。
ところが、やっぱり反応がない。
LINEがメインの連絡ツールになった昨今、メアド宛てのメールがなかなかチェックされないことには慣れてる私だけど、さすがに本当に焦っている。
それにしても、本当に切られたとすると、なぜこのタイミングだったのだろう?
そう思った時に、はたと「平成が終わったから?」と気づいたわけだ。
元号の切り替わりが、人間関係を整理するきっかけを与えた。そう考えるとなるほどと思えるのだけど、それより何より自分が整理するリストの中に入れられたことのショックは拭えない。
過去、私も仕事関係で毎年どんどん長くなる年賀状リストに困り果て、整理したことがあった。なので、その気持ちだけはわからないでもない。
でも、今の自分は逆に、このトシになっても(たとえ年賀状だけだったとしても)まだ続いていた縁を、ここまで来て今さら切ろうと思わなくなっているのだ。
それなりの歴史があるのだから。
そこでまた、思い当たった。
私には子供がいない。なので、子供を通して知り合う人たちというのがいないのだ。ということは、意識的に交友関係を広げようとしない限り、知り合いは増えない。減りこそすれ。
だから私自身は、人間関係を今さら整理するということ自体に思い至らなくなっていたのだけど、こんな化石のような人生を送っている友人の方が少ない。みんな、人生のステージをどんどん転がっていて、苔が生えるヒマもないのだろう。その間に、交友関係も移り変わっていく。人生の様相が、私とは違うんだ。
移り変わる中で、古い関係の方から葬っていこうと考えた人がいたとしても、何ら不思議はない。
今までも、似たようなことがまったくなかったわけではない。
会いたくても会えないでいるうちに、疎遠になって切れてしまった人、切れかかってる人。首の皮一枚状況に気づいてラブコールを送っても、もう反応してくれなかった人もいた。
今年に限って、こんなに縁の切れ目をさびしく感じるのは、私がトシを取ったということなのか。
それともう一つ、気づいたこと。
何人かの年賀状に、進学などで子供が出て行って、自分の生活も新しくなったというようなことが書いてあった。私のライフステージが一番最近変わったのは、結婚したこと、それに伴って違う土地に引っ越したこと。私はそこから止まっている。
変化があった人の新しい風景の中に、私は少しでもいる価値があるのだろうか?
漠然と、そんなことを考えてしまう。
慌てて会ってみても、こんな(変化に乏しい)私の近況を聞いて、彼らはおもしろいだろうか??
令和も3カ月が過ぎようとしてる。
けど、私だけ平成の中に取り残されたようにさびしい気がするのは、なかなか晴れない天候のせいだけじゃない。
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