精神状態

「このスキル、どうやったら使えるの?」


 シャナンはアスランからもらったプレートでスキルの効果を読み知っていた。しかし、どの様に使うか理解していなかった。折角の機会だから、ジェガンに聞いてみようと思ったのだ。


「あーんとな、まあ、シャナンの精神状態が希望ってのになると…あのー…お前とみんなの力が強くなるってやつだ」

「希望……ってどうやってなるの?」

「うっ……サラ、教えてやってくれ」

「…隊長、知ったかぶりは良くない…」

「うるせぇ。シャナンが聞いてきたんだから、答えねぇ訳にはいかねぇだろ!」


 ジェガンが顔を赤くして反論した。この男も見かけによらないところがあるのだな、と面々は思った。


「精神状態というのは…心の有り様ありようよ…“悲しい”や“楽しい”という感情を表しているの」

「心……私の心…?」

「そう。希望というのは“楽しい”よりもっと上の感情よ……シャナン、あなたが望むことは…夢は……なに?」


 サラがシャナンに質問した。シャナンは自分が勇者となり叶えたい夢を思い出し、力強く言葉を発した。


「私は…パパやママに会いたい!お兄ちゃんやミャー子とも!友達にも会いたいし、またみんなと遊びたい!それが私の夢…」

「…そう。その夢を叶えるために頑張ることが“希望”なの…諦めないで…その想いがあなたを強くするわ」

「ま、そういうことだな。シャナン、希望を持てよ」


 ジェガンがしたり顔でシャナンを励ます。“あなたは何もしてない”とサラが目で訴えたが、ジェガンはその視線を無視した。

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