明日への希望

 ───話は三日前に遡る───


 ジェガンはサラから紙をひったくり、書いてある内容に驚愕する。


「何だこりゃ?」


 紙に書いてあるシャナンのレベルはたったの6……しかし、その能力は実質レベル10以上と言われても不思議ではない高い数値であった。


 しかし、ジェガンの目を引いたモノは能力値でない。一番驚いた内容はスキルである。特に、スキル“明日への希望”の効果は見たこともない能力であった。


「“明日への希望”…か。何だこのとんでもないスキルは」


 明日への希望……それはシャナン持つスキルの一つである。


 彼女の精神状態が”希望“の場合、シャナン自身の能力が大幅向上する。だが、それだけではない。追加効果にシャナンの仲間たち全員の能力が二倍に向上するというおまけもついた強力なブーストスキルだ。


 発動条件が難しいが、効果が発揮されれば全員がレベル以上の力を発揮する。


 シャナンはジェガンが持つ紙を覗き込む。そこに記載された内容は以前プレートに表示された内容と大きく異なっていた。


「あれ?スキルの説明が書いてある」

「…それは私の分析アナライズのレベルのお陰よ…隠れたパラメータや……スキルの説明も…見えるようになってるの……」


 サラの説明にシャナンは納得する。


 サラの分析アナライズは冒険者プレートよりはるかに能力が上である。紙には冒険者プレートでは表示できなかったパラメータ”洞察力“や”敏捷性“、それにスキルの説明が記載してあった。それでも最初にアスランから渡された金属プレートに書いてあった内容より情報量がすくなかった。


「お前らも見てみな。ステータスもすげぇが……“明日への希望”…やはり、こりゃユニークスキルだな」


 ジェガンに促されて、トーマスたちも紙を覗き込む。


「“明日への希望”…シャナンの全能力が大幅向上……ですか。それだけでなく、私たちにも効果が及ぶようですね」

「シャナンの精神状態が“希望“の時しか使えないのか。条件が厳しいな」

「いや、それだけじゃないわ。威圧や異常耐性も凄いわよ。これ、上位スキルじゃないのかしら」

「魔力の伸びが素晴らしいですね。これで魔法を覚えるとどうなるのでしょうか…」


 口々にシャナンの能力を褒め称える面々の言葉に、シャナンは少し気恥ずかしくなりモジモジし始めた。

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