引きこもり探偵

作者 詩一@シーチ

40

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★★★ Excellent!!!

名探偵がそこにいるから、殺人事件が起きたのだーー。
そんな政府の暴論のせいで軟禁生活を余儀なくされた名探偵と、彼の世話をするべく派遣された女性。
二人は軟禁生活の中でやがて心を通わせていくが、「そこにいるだけで殺人事件を起こす」名探偵は彼女をも不幸にしてしまうのではと思い詰める。
この世界で殺人事件が起こるのは、本当に名探偵のせいなのか。
そして軟禁生活が生んだ愛の行方は……。
ミステリー好きの方も、そうでない方も、必読の作品です。

★★★ Excellent!!!

ミステリーでありSFだが、根底に流れるのは恋愛。人間ドラマだ。

名探偵がいるから世の中で事件が起こるのだというトンデモ理論で政府に軟禁されてしまった探偵。
そして彼に食糧や日用品を運ぶ役人の女性。
探偵が軟禁されたことで、殺人事件は起きなくなった。
たまたまそういう時期と重なったのか、本当に軟禁が功を奏したのか。

外界との唯一の接点。何か事件が起こるとするなら、一番危ないのが彼女。
しかし「探偵の恋人は殺されない」というお約束がある。
そんなわけで「恋仲になってくれ!」と告げる探偵。(お、おーい・笑)

トンデモ・無茶ぶり。なのに、ほっこり。そして、しんみり。
珈琲を淹れ、駄菓子をつまみつつ鼻歌を歌っているうちに話は進んで行き……。
コメディかと思っていたら、最後には純愛ものに引きずり込まれていた。

彼女の願ったこと。
例え、どこかで知らない誰かが死んだとしても、目の前の好きな人に束の間の自由を与えたい……。
それは正しいことではないかもしれない。しかし間違っているとも言えないのだ。

Q・名探偵という存在は事件のトリガーなのか。それとも歯止めなのか。
A・名探偵にも分かりません。人の心の謎が解明されてないのと同様に。

……Q.E.Dならず。解は、ぜひ本文で探してみてほしい。

★★★ Excellent!!!

探偵といえば
死体を目の前にしても動じず、むしろ謎にワクワクするような、そんな危ない存在であり、読む側も特にその流れを気にしないのがお決まりです。

描かれるのは犯人サイドの動機のみで、被害者遺族は省かれているものです。

しかしこのお話は違う。
〝 恋人〝 を理不尽に奪われた女性の絶望感がひしひしと伝わり、読みながら涙で画面が揺らぐ程。
そしてここに登場する名探偵は、彼女の魂を救う為だけに推理をするのです。

名探偵がいるから事件が起きる。
それなら永遠に自由を奪ってしまえ。そんな暴論が通っていいのか。
果たして本当に、その説は正しいのか。

美しい季節の移り変わりと共に綴られる
切なく余韻が残る、全く新しい純愛ミステリー。
ぜひご一読ください。

★★★ Excellent!!!

レビューを書かせていただくことをとても嬉しく思います。
わたしは切なさやセンチメント(感傷)といったものは人間にとってとても大切なものだと感じます。
そういうココロの動きを後ろ向きと捉える場合もあるかもしれませんけれども、人生そのものを「物語」として懸命に生きる時に必要な「演出」なんだろうとこの小説を拝読して改めて思い出させていただきました。
あなた自身の実体験の切なさやあなたが触れた芸術や創作作品の美しい思い出を再び取り戻せるかもしれません。
とても美しい小説です。ぜひお読みください。