最終話:魂は巡り巡って……

これは、セリーナこと藤沢 芹那が死んだ後の物語……



芹那の親友は呆然と遠くを眺めていた。芹那が死んでから彼女はずっとこんな調子だった。学校に行きたくない、食事もとりたくない、とにかく何もしたくない無気力状態だ。


「あいつ……私のこんな姿見たら笑うか……いや、案外ものすごいお人好しだからめちゃくちゃ心配するだろうな……」


芹那の親友は自嘲気味に笑ってそう言う。


彼女がここまで無気力状態なのには訳がある。何故なら、彼女は芹那の事がずっとずっと好きだった。けれど、その想いを口にする事は一度もなく終わってしまったのだ。


「しかも……なんだよ……見ず知らずのお姉さん庇って死ぬって……あいつらしいけど……凄いムカつく……」


無気力な彼女からのどうしようもない怒りの言葉。

彼女は、これでも芹那の好みになる為に、匂いを良くする為の様々な努力も行なってきたが、どうしても、歳上のお姉さんにだけはなれなかった……


「もしも……生まれ変われるなら……今度は……あいつ好みのいい匂いのする……お姉さんになって……私なしじゃいられないように……」


そう呟いて彼女、相原 理亞の意識は途絶え、そして…………その魂は………………













「……姉様……!お姉様!起きてください!もう朝ですよ!」


「ん……セリーナ♡」


目を覚ましたら愛しの妹が目の前にいたので思わずギュッと抱きしめる私。


「ひゃうん……!?ちょっ!?お姉様!!?ダメですよ!?そんなにされたら……溺れひゃうぅ〜……!?」


私に抱きつかれて撫で撫でされて子猫みたいになってしまう私の愛しい妹。その妹の薬指には、私との薬指と同じくキラリと光る指輪があって、思わずニヤけそうになるのを必死に抑える私。


「うふふ……♡名残惜しいけれど、これぐらいにしなきゃダメね。今日は午前中から「パルフェリア」での仕事があるし」


「はうわぁ!!?しょんにゃあぁ〜……!!?」


まだまだ私に甘えようとする可愛い妹。存分に甘やかしてあげたいのだけれど、そうしていたら時間を忘れて店長に叱られたのだから、ここは我慢が必要ね。セリーナもそれが分かっているらしく、トボトボと私について行く。


「そういえば、お姉様がお寝坊なんて珍しいですよね?」


セリーナが首コテンと傾げてそう聞いてきた。確かに、いつもは私が早いか、遅くても同じ時間に起きてるから、珍しいパターンではあるわね。


「夢を見ていたの……どこか……すごく遠い昔の懐かしい夢を……」


「はぁ……夢……ですか……?」


昔はちょくちょく見ていた。と言っても、目を覚ましたら忘れているのだけれど……ただ、何故か懐かしいという感覚と、胸に宿る情熱と切なさだけはいつも私の心の中にあった。


「久しぶりに見たけれど、多分もう見る事はないでしょうね」


「はぁ……そうなんですか?」


「えぇ、もうその娘の願いは叶ったんだから……」


私はセリーナと手を繋ぎ、ノイエル町にあるスイーツ店「パルフェリア」私達の職場に向かう。


「さぁ!行くわよ!セリーナ!」


「はぁ……またあのエロそうな貴族が来るんですかね……また対処しなきゃ……」


「うふふ♡セリーナ。ほどほどに済ませなきゃダメよ♡」


「は〜い!分かってまぁ〜す!」


私達はこれからも姉妹仲良く歩んで行く。


それが叶えられなかった彼女の分までずっと……



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