第38話:聖天大王敗北す
セリーナの拳は……カイゲンが作り出し防御結界と魔法障壁の二重の壁に阻まれて通らなかった。それを見たカイゲンはホッと安堵の溜息をもらす。が……
ビキビキビキビキィ〜!!!!
「んなぁ!!?」
防御結界・魔法障壁共に亀裂が走りそして……
パキィ〜ーーーーーーーーーーンッ!!!!
セリーナの拳がついに2つの壁をぶち壊した。が、当然それだけでセリーナの拳が止まるはずがない。セリーナの拳はまっすぐにカイゲンの顔面に向かって放たれる、
「ブハホォ〜ーーーー!!?」
聖天大王と呼ばれたその人は、齢13歳の少女の拳を受けて吹っ飛ぶ。だが、流石は聖天大王と呼ばれる人物。他の者とは違い、殴られた頰を抑えながらムクリと起き上がった。
「なっ!?そんなバカな!!?この私が……!?痛みを感じているだと!!?」
聖天大王は自分が痛みを感じている事に驚愕した。といのも、カイゲンは自分自身にも強力な防御魔法をかけているので、普通の攻撃を食らっても痛みは発生しないのだ。そう。普通の攻撃ならば……
「殴られたら痛いのは当たり前でしょ」
しかし、そんなカイゲンの言葉を冷めた瞳で睨みつけそう言うセリーナ。カイゲンはそれに恐怖するもすぐさま立ち上がり
「こうなったら……!?力に狂ってもやるしかない……!?」
カイゲンは持っていた「神聖香」を取り出して、結界を解いてその匂いを全て浴びて力を得ようとした。
しかし……
「グギャアァァァァ〜ーーーーーーーーーー!!!!?」
「あんたにこれ以上お姉様の匂いを嗅がせる訳ないでしょう」
いつの間にか近づいて来たセリーナが、カイゲンの「神聖香」を持っていた腕をあらぬ方向へ捻じ曲げ、セリーナはリーアの魂を取り戻し、カイゲンにはもう興味がないと言わんばかりに投げ捨てる。
そして、セリーナは「神聖香」わジッと見つめる。すると、セリーナはそこに確かにまだリーアの魂があるのを感じた。これは、カイゲンが結界で覆っていたおかげでもある。セリーナはここにきて初めての安堵の笑みを浮かべた。これをリーアの身体にちゃんと戻せば、リーアも目覚めさせられると……
「返せ……!?私の「神聖香」……!?このアストール聖王国に必要なんだ……!?」
カイゲンは捻じ曲げられてない腕を伸ばして、セリーナに這いずるように近づいてくる。
「……お姉様を復活させる前に害虫を駆除しなきゃいけないみたいね」
セリーナは軽く溜息をつくと、リーアの魂を再び自分の作り出した結界で覆って懐にしまう。そして、セリーナは高く高く跳躍し
「お決まりのセリフだけど!言わせてもらうわ!お姉様の匂いは!!私だけのものよぉ〜ーーーーーーーーーー!!!!!!」
セリーナは高く飛び上がり、カイゲンに向けて蹴りを放つ。その蹴りは見事にカイゲンにヒットしカイゲンは再び吹っ飛ばされついに撃沈。
こうして、神の力を得た聖天大王は完全敗北を喫した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます