第36話:神をも超える存在

聖天大王カイゲンは、「神聖香」の事を夢見た時からずっとこの時を待ちわびていた。


「やった!!やったぞ!!ついにこの時が!ワシの念願が叶うぞ!!これで!アストール聖王国は永久不滅ね国となるぞ!!」


カイゲンは今の聖王国を憂いていた。自分の後を狙って身内同士の醜い争い。しかし、老いによってどうする事も出来ないもどかしい自分にも……


しかし、この「聖神香」の匂いを嗅ぐ事が出来れば、しかも、彼女の身体からのではなく、彼女の魂に宿っているそのものを嗅ぐ事が出来れば、自分はかつての力を取り戻して、アストール聖王国をより良き国に導けると考えていた。


早速、カイゲンは取り出した彼女の魂を結界で包んだソレの匂いを嗅ぐ。すると……


「これは!?素晴らしい香りだ!!?力が……!力が溢れてくるぞぉ〜ーーーーーーーー!!!!」


カイゲンがその匂いを嗅いだ瞬間、年老いて痩せほせた身体が急に若々しい肉体に変化し、老いにより減少傾向にあった魔力も大幅に上がり出し、何より、先程老人だったその人が、二十代ぐらいの青年の姿へと変化していった。


「フッハハハハハ〜ーーーーーーーー!!!!やったぞ!ついに念願の昔の私の力を取り戻したぞ!いや!これは最早昔の私でもない!神の力を受け、神に等しい力を手に入れたぞ!!フッハハハハハ〜ーーーーーーーー!!!!」


カイゲンは喜び高笑いをあげている。実際、カイゲンの言う通りだった。「神聖香」は、いわば神がその者の魂を永遠に守って欲しいと願い、匂いを嗅いだ者へ神へのギフトが与えられる。それを直に嗅いで受け取ったカイゲンは、まさに神に等しい存在になるギフトを授けられたようなものだ。




しかし……カイゲンは知らなかった……


「…………ざ……けるな……ふ…………ざっけんなぁ〜ーーーーーーーーーー!!!!!!」


今、ここに13年間「神聖香」の匂いを余すことなく嗅ぎ続け、ある意味正気じゃなかったが、正気を保ち続けていた神をも超える少女が怒りにより覚醒した。

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