第29話:襲撃されたキャンベル家
私とシグレが急いで戻ったら、そこに広がっていた光景は……
「屋敷が……!?燃えてる……!!?」
私の家であるキャンベル家の屋敷が襲撃を受け火の手が上がっていた。現在、家に仕える人間が消火活動に専念し、全焼にまでは至ってないものの、13年過ごした家が燃やされる光景に、流石の私も動揺してしまった。
「セリーナ……!?良かった……!?無事だったのね……!?」
「心配したよ!セリーナ!」
「お母様!?お父様!?」
私の存在に気づいたお母様とお父様が私に駆け寄ってきて私を抱きしめた。良かった……お父様とお母様は無事だったのね……あれ……でも……そう言えば……
「お父様!お母様!お姉様はどこにいらっしゃるんですか!?」
いつものなら私を見つけたら真っ先に駆けつけてくれるリーアお姉様がいないのに気づき、私は2人に尋ねたら、2人は言いづらそうに俯いた。私はそんな2人に嫌な予感を覚え、そして、その嫌な予感は見事に当たってしまった。
「それが……火の手が上がった場所から反対方向にあるリーアの部屋に、従者がすぐに向かったそうなんだが……誰もいないと言ってるんだ……お前もいなくなっていたから、もしかしたら2人で避難したのかとも思ったんだが……」
「ッ!!?」
私はそれを聞いた瞬間にすぐに駆け出そうとしたが、その腕をシグレに掴まれ止められる。
「何するの!?離して!?このままじゃお姉様が!!?」
「落ち着いてください。闇雲に探して見つけられるんですか?」
「私がお姉様の匂いを見つけられないはずが……!」
「襲撃した人物は正にそのリーアお嬢様の匂いを狙って今まで動いていたんです。辿れないように対策もとっていると考えるべきでしょう」
シグレの言葉を受け、少し冷静になった私だが、早くしないとリーアお姉様がとはやる気持ちは抑えられない。
「私に心当たりがあります」
「心当たりって……仕事を依頼した人は分からないって言ってたじゃない……!」
「確かに、仕事を依頼した人物は分かりませんが、まず、魔法省でない事は確かなはずです。魔法省なら、リーアお嬢様を手に入れるのに、ここまでの事をしなくてもいいでしょうから」
ここまでの事とは、シグレの事や屋敷が襲撃された事までを指しているんだろう。
「そして、キャンベル家を襲撃してまで行動に移す。そんな強行手段に訴えかけられるとしたら、身分としては相当上の人間。考えられるのは次期聖王候補が、中立派でいるキャンベル家を脅すために娘を攫ったというものでしょうが、流石にここまでの事をするリスクは高すぎる……」
確かに……バレたら聖王候補からあっという間に引きずり下ろされるだろう。待って……そうなったら……犯人って……まさか……!?
「お気づきになりましたか?そうです。現聖王であり、聖天大王とまで呼ばれたあの方です」
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