第30話:栄え滅びた大国の話
シグレの話を聞いて驚愕するセリーナ。
「何で……何でこの国の王様が!?お姉様を狙うのよ!!?」
「もしかすると……我が家に伝わるあの話が関係あるのかもしれない」
シグレとセリーナの話を聞いていたエドガーが、神妙な顔つきでそう切り出してきた。
「あの話って……!?お父様は何か知ってるんですか……!!?」
セリーナはエドガーに詰め寄る。エドガーはしばし沈黙していたが、やがてその重たい口を開いた。
「我が領に大森林があるだろう」
いきなり何の話をするんだとセリーナは首を傾げる。あるもなにも、先程シグレと戦った場所こそその大森林だ。
「あの大森林の奥深くに、かつて一つの大国があったんだ……」
エドガーは語り始める。遠い遠い昔にあった大国の話を……
一方、リーア・キャンベルは何か違和感を覚え、ゆっくりと目を開ける。実は、シグレはリーアにはそれ程強力な睡眠薬を使用していなかったのだ。
「ここは……?私の部屋じゃ……ない……?」
「目を覚ましたか……」
リーアは突然声をかけられて、声のした方を振り向くと、そこにいたのは……
「聖王様!!?」
リーアの目の前にいた人物こそ、このアストール聖王国の王、聖天大王カイゲンであった。
何故目の前に聖王様がいるのか?そもそもここはどこなのか?リーアの頭にらその二つの疑問でごっちゃになっていたが、それを察したカイゲンが答えはじめた。
「ここは聖王城のワシの部屋だ。だから、ワシがここにいても何の不思議もない」
カイゲンの言葉に二つの疑問は解消されたが、そうなるとまた新たな疑問が生まれる。何故、自分はこんな場所にいるのかという疑問が……
「何故ここにいるのか?今度はそう思っているな。その答えは単純だ。ワシが頼んでお前をここに連れて来るように命じたからだ」
「えっ……!?」
何でそんな命令を!?とリーアは思ったが、カイゲンは窓から見えるある地を見つめて
「かつて、この聖王国よりも栄えた大国があった。その大国の女王クレオは、匂いであらゆる者達を虜にし、同時に、あらゆる者を狂わせて内乱により、その大国は滅びた……」
そして、カイゲンも語り始める。かつて栄え滅びた大国の話を……
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