第23話:一つ解決してまた新たな動きが……

「次はあんたの番ね……」


「ヒイィィ!!?」


ゆっくりゆっくりとアルミナに近づいて来るセリーナに怯えて座り込んで後ずさるアルミナ。しかし、アルミナは何とか助かろうと……


「ここは私の美貌に免じて許してくれないかしら!?ちょっとしたジョークだったのよ!?」


などと言い始めた。アルミナはセリーナがいい匂いのする綺麗なお姉さん好きを思い出してのこの発言ではないが、なんとか助かろうと必死な言い訳をした。


「貴方の美貌……はん!」


アルミナの発言をセリーナは鼻で笑った。


「貴方、最近皺やたるみがでてるのを厚化粧で誤魔化してるでしょう」


「なっ!?どうしてそれを!!?」


セリーナの発言に驚愕の表情を浮かべるアルミナ。


セリーナは前世から嫌いな事が一つだけあった。それは、どう考えても厚化粧で作ってるのに、綺麗だ何だと騒がれる女優やモデルである。いい匂いのする綺麗なお姉さんを見極めてン10年のセリーナにとって、厚化粧で誤魔化してるのぐらい丸わかりなのである。


「私が好きなのは…………ナチュラルメイクでも綺麗ないい匂いのするお姉さんよぉ〜ーーーーーーーーーー!!!!」


「ぎゃあぁぁぁぁぁ〜ーーーーーーーーーーーー!!?」


顔面を思いっきりぶん殴られたアルミナは軽く吹っ飛んで気絶する。その際、彼女が厚化粧で誤魔化してきた皺やたるみが明らかになったのは言うまでもないだろう……






「観察終了。上はこの結果を分かっていたのかしら……それとも……上も誰かに依頼されて……」


セリーナ達の様子を観察していた者のそんな呟きは誰に届く事もなく、観察者はすぐにその場から姿を消した。



こうして、リーアは匂い共々無事に帰って来た。アルミナとマナカは当然ながら捕縛される形になったのだが……


「えっ!?釈放されたんですか!?あの厚化粧悪役令嬢!!?」


「こら!滅多な事を言うもんじゃないよ!セリーナ。私とて、一人娘を攫われそうになってはらわた煮えくりかえる想いだが、これが今のアストール聖王国なんだ……」


「お金とコネさえあればどうとでも出来てしまう……聖天王様も頑張ってらっしゃるけど、もうお年ですから、全てに目を配れないのよね……」


このアストール聖王国の王は聖天王と呼ばれる今現在齢80を超えている方がおさめているが、年齢という事もあり、次の後継者争いが激しくなっていて、様々な力ある貴族が自分の選んだ後継者に投資し、その後継者達もその貴族の為に不正紛いの事をしたりして、かつては聖王国に恥じない国であっても、今ではこんな状態である。


(ん〜……もういっそのこと、この国を出るしかないかしら?)


最愛の姉を守る為に、今世の生まれ故郷を離れる事も視野に入れ始めるセリーナだった。















「これが、影に調査させた報告書です」


「ご苦労だったな。下がれ」


「はっ!失礼しました」


「………………ふっ、ふふふ!!やはりそうか!これで確信したぞ!これでようやく世の望みを叶えられる!!」


セリーナ達に新たな強大な魔の手が伸びようとしていた。

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