第13話:至高の匂い

怪盗F、彼に盗めない物はない。しかし、そんな怪盗Fでもどうしても盗む事が出来ない至高の物があった。それが、匂いだった。当然だろう。匂いとは存在はしているものの掴む事が出来ないものだ。


しかし、怪盗Fは匂いが至高であるとも思っていた。大昔、とある国の女王が、匂いで複数の男性を虜にして、国を建国したという逸話もあるぐらいだ。だから、怪盗Fはどうにか至高の匂いを手に入れられないか思案していた時に、ある噂を耳にした。


「このアストール聖王国のキャンベル侯爵令嬢の1人が、ものすごくいい匂いがするという噂を耳にしたのだよ!」


そこで、怪盗Fは貴族が集まるパーティーに従者に変身して、その噂の令嬢が来るのを待った。そして、その令嬢が来た瞬間に彼は驚いた。


(なんと!?この距離からでも素晴らしい匂いが漂ってくるとは!?あの少女こそ!私が求めていた至高の匂いの持ち主で間違いない!)



「故に!私はリーア・キャンベル侯爵令嬢をいただく事にしたのだよ!彼女を私のコレクションに加えれば!私の至高コレクションが出来あがるからね!」


彼は自分の至高コレクションの為に、リーアを盗もうと考えていたのだ。そして、当然その反応に対してのセリーナの返答は……


「ふ……ふふふふふふふ……!ふざけるなぁ〜ーーーーーーーー!!!!」


彼女の怒りの叫びに驚いて、鳥達が無数に飛び立っていく。


「あんたの変態的なコレクションにお姉様を巻き込むなぁ!!お姉様の匂いは私だけのものよ!!」


別にセリーナだけのものでもないが、堂々とそう宣言するセリーナ。そんなセリーナに、怪盗Fは不敵な笑みを浮かべ


「ふっ、君に私は捕らえられはしないよ!イリュージョン!!」


怪盗Fはそう叫ぶと、突然何人もの怪盗Fと抱えられたリーアが現れる。


『フハハハハ!!私も君と同じく特殊な属性、幻属性の魔法の使い手でね!幻影を作るのなんてお手の物さ!さぁ!君に本物がどれか分かるかな!?』


怪盗Fは高らかに笑ってそう宣言する。


しかし、セリーナは一切慌てず、前に手にした怪盗Fの予告状を手に持ち


「本物は…………そこよッ!!!」


セリーナはその予告状を投げた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます