第11話:怪盗Fは……

「お嬢さん!怪盗Fが誰に変身してるのか分かったとは本当ですか!?」


ケイブさんが驚いた表情でそう聞いてくる。えぇ、どんな変身のプロだろうと、私の鼻から逃れられないのよ!


「怪盗Fは………………シグレ!!あなたよ!!」


「えっ?」


私に指をさされて無表情なが驚愕の表情を浮かべるシグレだったが、すぐに


「お嬢様。まさか、いつも仰ってる匂いとかですか?まさか、匂いで私を怪盗Fだと決めつけておりませんよね?」


いや、ズバリその通りなんだけどね。私は至高の匂いの人がいても、綺麗なお姉さんの匂いは本能的に嗅いでるから、シグレの匂いもバッチリ記憶してるわ。もちろん、シグレもなかなかの良い匂いよ。


けれど、根拠は別に匂いだけじゃないのよね〜……


「ねぇ、シグレ。右手のそのガーゼはどうしたの?」


「ッ!?」


シグレがここにきて初めて動揺したような表情を見せたが、それは一瞬で、すぐにいつもの無表情に戻る。


「これは、今朝、調理で失敗して、包丁で切り傷を作ってしまったんです」


「ふ〜ん……本物のシグレでも言いそうな言い訳だけど、残念ながら違うわよね。私、見ちゃったのよ」


私はニヤリと笑う。シグレは無表情だが、どこか動揺しているようにも見受けられる。


「今朝!貴方が裏庭に来ちゃった猫を撫でまくり!つい猫が嫌がるポイントに触れちゃって!右手に猫に引っ掻き傷をつけられたのをね!!」


「ッ!?」


そう。私は今朝目撃していたのだ。シグレが裏庭に入ってきた猫を可愛がり過ぎて、右手に引っ掻き傷をつけられたのを……その時のシグレの無表情ながらもどこか寂しそうな表情は今でもハッキリ覚えている。

その時のシグレは確かにシグレの匂いがしていたので、そのシグレは間違いなく本物だ。つまり……


「貴方が本物だと言うのなら、右手のガーゼを取ってくれるかしら?その傷が猫の引っ掻き傷じゃないのなら、色々矛盾が生じるしね」


「……………………ふっ、お見事だよ。セリーナ・キャンベル侯爵令嬢」


シグレらしき人物がそう呟いた瞬間、シグレらしき人物は何かを投げつけた。すると、いきなり眩い光が放たれた。なっ!?これって!?閃光弾!!?だから何で西洋ファンタジーにそんな物が!!?


そして、ようやく光が収まると、シグレがいた場所には誰もおらず、代わりに……


「フハハハハ〜!!確かに!リーア・キャンベル侯爵令嬢はいただいていくよ!」


真っ白な衣装に帽子にマントに仮面と……いかにも怪盗と言った風貌の男が、リーアお姉様を片手に抱えて大きな窓の側に立っていた。

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