第3話:綺麗なお姉さんにチャイナドレスは最高のコンボです!

「この木彫りの感じに!紅鮭を咥えたパンダ!実に愛らしくて素晴らしい!!」


木彫りの紅鮭咥えたパンダを掲げて目をキラキラさせて喜んでいるお父様。その横で……


「そうでしょ!そうでしょ!コレこそが我が商会一のオススメ商品ネ!」


古い漫画に出てきそうな悪徳中国商人の格好をした人物が、お父様に木彫りの紅鮭咥えたパンダをすすめていた。

怪しい!?怪しすぎる!!?西洋ファンタジーな世界で何で前世の似非中国商人みたいな格好した人がいるのよ!!?しかも!その商人の背後の護衛らしき人も中華風の衣装を身に纏ってるし……アカン。コレは止めないとお父様がまた変な物に手を出してしまうわ!


「ダメですよ!お父様!それは偽物ですよ!」


「セリーナ!?偽物ってどういう事だい?」


「そうヨ!これは立派な木彫りのパンダの置物ヨ!」


似非中国商人はそう反論してきたが、前世の記憶がある私は、その木彫りのパンダが偽物だと分かっている。


「だって、パンダは紅鮭を咥えません!パンダが咥えるのは笹の葉のはずよ!」


前世の記憶を持ってる私は、パンダが笹の葉が好きなのぐらい知っている。綺麗なお姉さんの匂いしか頭にないだけの少女ないですよ。一応。


「ぐっ!?この国の小娘が何故それを知ってるネ……!?」


ほら!なんか商人からも認める発言が飛び出してきたわよ!絶対こいつ怪しいって!?


「いいじゃない。だって、このパンダ可愛いじゃない♡」


って!?ちょっ!?リーアお姉様!?


「そうですね。このぐらいの物でしたらそんなに邪魔にならないですし」


ちょっ!?シグレまで!!?しかも、ポーカーフェイスのシグレが心なしか目がキラキラしてるし!?

そうだった……シグレはこう見えて可愛い動物が好きで、部屋には動物のぬいぐるみで埋め尽くされてるんだったわね。本人はその趣味を必死に隠してるけど……えっ?何でも隠してる趣味をお前が知ってるかって?綺麗なお姉さんの情報収集は基本ですよ。例え、理想的な匂いのするリーアお姉様を見つけてもね。当たり前じゃないですか。そんな事。


「よし!じゃあこの木彫りのパンダは購入で!」


「毎度ありがとうございますヨ!!」


「って!?ちょっ!?待って……!!?」


私が慌てて止めようとするが、それより先に商人が私の前に現れ、ある物を渡してきた。


「まぁまぁ、お嬢さんにはコレなんかどうヨ〜!」


商人が私に渡してきたのは……チャイナドレス?って!?だから何でチャイナドレスがこの世界にあるのよ!?世界観間違ってるでしょ!だいたい!チャイナドレスってのは綺麗なお姉さんが着るからこそ!最高のコンボになるのよ!ほら!リーアお姉様がコレを着たのを想像してみなさい!


「うふふ……♡セリーナ♡こっちにいらっしゃい♡」


スリットから生脚出して、私を誘うように言うリーアお姉様。うん!やっぱりいい!綺麗なお姉さんにチャイナドレス最高!!グヘヘへぇ〜……!


「せっかくですから、我が国にしかない独自の料理も召し上がらないかヨ!そっちはサービスいたしますヨ〜!」


「よろしいのですか?ショウ=バイ=ハンジョーさん」


「もちろんヨ!その代わり、今後ともハンジョー商会をご贔屓に!従者の皆さんもよろしければどうぞヨ〜!」


「ありがとうございます!わざわざ従者の分まで、では皆!せっかくだしご好意に甘えるとしよう!」


お父様は、ショウ=バイ=ハンジョーという名前らしい商人の好意を受け取ったみたいだけど、リーアお姉様のチャイナドレス妄想に夢中な私は全く見向きもしなかった。だから、そのハンジョーという商人が口の端を上げて笑ったのも見逃してしまった……

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