第2話:綺麗なお姉さんの吐息は好きですか?(A.大好物です!!)

突然ですが、綺麗なお姉さんの吐息は好きですか?


私?当然。大好物ですッ!!!!


「それでね……ここアストール聖王国から離れた国、ウィンドガル王国を建国したっていう初代女王様が、セリーナと同じ無属性魔法の持ち主でね……」


魔力検査によって、私が無属性の魔法を使える事が分かったんだけど、無属性って何ぞや?ってなり、それなら「私が教えてあげるわ!」と言ってリーアお姉様が名乗りを上げてくれたんだけど……


「この初代女王様が、五大英雄の1人でもあってね……」


リーアお姉様と私は向かい合う形になり、リーアお姉様は本を手にして私に説明してくれてるのだけど、物凄く距離感が近い為、リーアお姉様の匂いが漂ってきて正直話してくださる内容が全く頭に入ってきません!!

それに何より!問題は吐息よ!やっぱり口臭ってなかなかケアが難しいから、どうしても臭くなりがちだけど、リーアお姉様の先程から話す度に放たれる吐息はもう素晴らしい匂いで!しかも!体から漂ってくる匂いより少し強烈に感じるせいか、もう!色々ダメになっちゃいそうです!私!!


「セリーナ。ちゃんと聞いてる?」


「ごめんなさい!お姉様!お姉様の匂いに夢中で全然聞いてませんでした!」


リーアお姉様にそう聞かれた私は正直に答える。


「もう!ダメよ!大切な事なんだから、ちゃんと聞かなきゃ……メッ!よ!」


「てへぇ☆ごめんなさい!お姉様!」


リーアお姉様が人差し指で私のおデコを突っつき、私はテヘペロで返す。今の私は赤髪のツインテで、お姉様と比べたら見劣りはするものの、多少の美少女だからテヘペロがよく似合うわぁ〜……


そんな私達のやりとりをいつもの無表情ながら、どこかシラけたような眼差しで見るシグレ。


「お嬢様方……真面目に教えて、真面目に学ぼうという気はあるんですか……?」


シグレが若干のジト目で私達を睨みつけてくる。が、そんなの答えは決まってるじゃない!


『もちろん!あるに決まってるわよ!』


私達姉妹声を揃えて同じセリフを言った。流石は私達仲良し姉妹ね!思わずリーアお姉様と顔を見合わせて微笑み合う。

そんな私達を見てシグレは呆れたような溜息をついた。


とりあえず、リーアお姉様の教えのおかげで、私は私TUEEEE!?転生したという事が分かった。ん?他にもっとあっただろう?あぁ!そうだったわ!お姉様は吐息の匂いも最高だという事が分かったわ!これは新たな真理ね!綺麗なお姉さんは吐息までいい匂いよ!!


リーアお姉様との楽しい勉強会を終えて、私はリーアお姉様とシグレと一緒に廊下を歩いていたら……


「おぉ!?これは!?なんて素晴らしいんだぁ!?」


応接間から私達のお父様、エドガー・キャンベル侯爵の声が聞こえてきた。

お父様は、私と同じ赤髪のちょっと小太りな人である。小太りだとめっちゃ成金なのかと言われると、そうじゃなくて、何というかこう人が良さそうな感じのするぽっちゃりさんで、奥さんであるマリアナ・キャンベルお母様も、私達2人の娘も大切にしてくださっているし、従者にも柔らかい物腰で接している。


「応接間から聞こえてくるけれど……来客の予定なんてあったかしら?」


「さぁ……?私は特に聞いてないけれど……」


私の言葉にリーアお姉様はそう返答をする。


「いつものアレです」


シグレが私の疑問にそう返答する。


「あぁ……いつものアレかぁ〜……」


私はシグレの回答を聞いて、この屋敷の廊下にも飾ってある謎の人形を見て思わず溜息をついてしまった。


我が家のお父様は、本当に人が良い尊敬に値出来る人なんだけれど、一つだけ困ったところがあって、他の国から作られた変わった品という言葉に弱く、ついついそういう商品を買ってしまうのだ。この廊下にも、そう言われて買った品々が所狭しと飾られていて、侯爵家の屋敷とは思えないような独特な雰囲気を醸し出していたりする。


「また変な物をお父様が買う前に阻止しましょう!」


私の言葉に、リーアお姉様もシグレも賛同し、私達3人は応接間に突入する。


「おぉ!これは本当に何回見ても愛らしい!!」


応接間に入ったら、お父様が目をキラキラさせ、木彫りの紅鮭咥えたパンダを掲げていた……

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