プロローグ2

「はう〜ん……!お姉様ぁ〜……!」


「うふふ……セリーナったら、子猫みたいに甘えて……可愛い♡」


先の話のような前世の記憶を、リーア・キャンベルお姉様に膝枕してもらいながら思い出した私、セリーナ・キャンベル現在8歳。お姉様の膝を堪能しているけれど、これでも立派な侯爵令嬢である。


ふむふむ……つまり私は前世はこことは違う世界で女子高生だったけど、綺麗なお姉さん庇って死んで、この世界でセリーナ・キャンベル侯爵令嬢として生まれ変わった訳ね。よし!はい!終了!


という訳で!私は存分にリーアお姉様の膝を堪能させてもらうわ!リーアお姉様ってば本当に素晴らしいのよ!紫色の長い髪に、赤い瞳の美少女で現在は私より2つ上だから10歳ね。でも!10歳にも関わらず、もう将来美人さんを予感させるような見た目に!この姉としての包容力!そして!何よりも重要なのは!そう!匂いよ!!


くはあぁ〜!?これは本当にたまりませんわぁ〜!!!前世でも何とか様々な綺麗なお姉さんの匂いを嗅いできた私だけど、リーアお姉様の匂いは私が前世でも嗅いだ中で1番のいい匂いの持ち主よ!!さっきから膝から香るリーアお姉様の匂いに思わず昇天してしまいそう!いや!この匂いを嗅ぎながら死ねるなら本望よ!2度目の死は綺麗なお姉さん(予定)の匂いを嗅いで死ねるなんてもう最高よねッ!!!


ん?何?もっと他に思い出すべき重要な事があるだろう?それを思い出せって?ないない!というか!リーアお姉様のこの匂いを堪能する以外に重要な事なんてこの世にないわ!という訳で!!リーアお姉様の匂いを存分に堪能させていただきまぁ〜す!!グヘヘへぇ〜!って!?ぎゃあぁぁぁぁ〜ーーーーーー!!?


「セリーナ!?どうしたの!?急に飛び起きて!!?」


私は何者かによる強制思い出しビームを心の中でくらい、今目の前で私を見て戸惑っているリーアお姉様が、前世で私が楽しみにしていた乙女ゲーム「聖女たん物語〜たんは誕生の意味で◯◯たんという事ではないよ〜」のヒロインである事を無理矢理思い出さられた!

ちょっ!?嘘でしょ!?ちょっと待ってよ!?リーアお姉様がヒロインって事は……このゲームの制作会社株式会社「SIS☆COM」はヒロインと悪役令嬢を姉妹関係でやるので有名な会社だ。つまり……お姉様がヒロインなら、妹である私は悪役令嬢!?他に兄弟とかいないからもう確定じゃないの!!?


私は正直乙女ゲームについては薄い知識しかないけど、確か悪役令嬢って、ヒロインの恋路を邪魔する為に、ヒロインに様々な嫌がらせや陰湿なイジメをするのよね……私が……リーアお姉様に陰湿なイジメや嫌がらせを……


「セリーナ……本当に大丈夫……?」


はい!無理〜!?こんな絶対将来最強美人なお姉様になるって分かる人に嫌がらせするぐらいなら、腹かっさばいて死んだ方がマシよ!!

かと言って……私の前世の時に流行っていた悪役令嬢転生小説みたいに、断罪フラグを断つ為に行動したら……逆にお姉様が断罪される可能性も……そんなの絶対にダメぇ〜ーーーーーーーーーー!!?どうすればいい!?どうしたらいいの!?


よし!決めた!!


「お姉様ぁ〜!?私、怖い夢見て起きちゃって!もう一回お姉様の膝で寝てもいいですか?」


「あらあら……そうだったの。うふふ……いいわよ。セリーナの怖いの怖いの飛んでけぇ〜!」


痛いの痛いの飛んでけぇ〜!的な感じで私の頭をナデナデするリーアお姉様。うん。クールな綺麗なお姉様も好きだけど、天然ほんわか癒し系お姉様も大好物です!何よりリーアお姉様の匂いが大好物で、この匂いだけでご飯3杯はいけます!


えっ?結局何を決めたのかって?いや、起こった時の事はその時に対処すればいいかなって……だって、私この乙女ゲームの攻略対象のキャラも把握してないし(ヒロインのお姉様しか目がいってなかった)。だから、今はとにかくいつ断罪されてもいいようにリーアお姉様の匂いを存分に堪能しましょう!!グヘヘへぇ〜!!


そう!だって!今現在はお姉様の匂いは私だけのものなんだから!!

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