お姉様の匂いは私だけのものよ!!

風間 シンヤ

プロローグ1

私、藤田 芹那。17歳の女子高生である私は、親友に対していつものセリフを言った。


「ねぇ……綺麗なお姉さんっていい匂いがするよね」


私がキメ顔でそう言ったら、親友は何故か死んだような魚の目をし、おもむろにスマホを取り出して、ある番号を押した。その動きだけで、どこにかけようとしているのか私は察した。


「ちょっ!?まてぇ〜い!?何で警察にかけようとしてるのさ!!?」


「いや、目の前に度し難い変態がいたら普通通報するだろう」


私の制止に対してそう返してくる親友。いやいや!?待ちなさい!!待ちなさい!!!


「私は変態じゃないわよ!事実!世界の真理を言っただけよ!米倉◯子とか!菜々◯とか!壇◯とか!綺麗なお姉さんみんないい匂いがしてそうでしょ!?もう想像しただけでヨダレが……ぐへへへぇ〜……」


私は綺麗なお姉さん達の匂いを想像して、思わず垂れてしまいそうになるヨダレを拭うと、親友は先程よりも素早い動きでスマホを操作し


「ちょっ!?まて!?まて!?待ってぇ〜!!?だから!何で警察にかけようとするのよ!!?」


「もしもし……すいません、私の目の前にお姉さんの匂いが好きな度し難い変態がいるんですが……」


「って!?本当にかけるなぁ〜ーーーーーー!!?」


私は慌てて親友からスマホを奪い取った。危ない危ない……まだ物語始まったばかりで、いきなり警察のお世話になるところだったよ……


「本当に……相変わらずだよな……お前のその匂いフェチと、姉キャラ好き……」


親友は軽く溜息をついてそう言った。


そう!私は何を隠そう!綺麗なお姉さんが大好きなのである!だって!綺麗なお姉さんだよ!誰だって大好きだよね!?これはもう世界の真理だよね!?で、そんな私がこの世で最も好きなもの……それが!綺麗なお姉さんの匂いである!

だって!綺麗なお姉さんって!もう!匂いから凄い綺麗な香りがするんだよ!もう綺麗なお姉さんってのは!存在そのものがいい匂いがするんだよ!これも世界の真理ですよ!!


「ふふん!当然!私はいつだって綺麗なお姉さんの匂いを求めてるからね!」


「やっぱり度し難い変態だよ……お前は……」


死んだ魚のような目で私を睨んでくる親友。全く、人を変態呼ばわりとは心外にも程がある……


「ところで、話は変わるけど…………私!また新しい綺麗なお姉さんを見つけたんだよ!ジャン!これ見て!」


私はゲーム雑誌のとあるページを親友に見せる。


「ん、これって……有名な乙女ゲーム会社の新作か?確か必ずヒロインと悪役令嬢を姉妹関係にするので有名な……」


「そう!そして!この主人公のヒロインのリーアお姉様が!超私好みなのよぉ!!」


紫色の長い髪に、豊かな胸を持っていて、その微笑みは誰をも癒す優雅な微笑みで……あぁ……この人もきっといい匂いがするんだろうなぁ〜……


「お姉様って言うけど、このリーアってのが……」


「大丈夫!リーアお姉様がお姉様なのは確認済みだから!」


「あっそ……」


私の返しに呆れたような溜息をつく親友。


「しかし……お前は綺麗なお姉さんキャラが好きだから、ゲームやら漫画やらアニメに手を出していたのは知ってたし、ギャルゲーもやってるのは知ってたが、まさか乙女ゲームもとはな……で、推しキャラは?」


「当然!!ヒロインのリーアお姉様一択!!」


「うん。確認のつもりで聞いたけど、聞いた私がバカだった」


再び呆れたような溜息をつく親友。


「って言うか……前々から思ってたが、ゲームじゃこのキャラがいい匂いかなんて分からないだろう……」


「何を言ってるの!?綺麗なお姉さんは存在するだけでいい匂いがするんだよ!!それはもう!画面越しからでも!いい匂いが伝わってくるんだよ!!」


「……110番じゃなくて、119番だったか……」


親友は死んだ魚のような目をして私にそう言ったのだった。





「ふぅ〜……やれやれ……何故我が親友は世界の真理を理解出来ないんですかねぇ〜……」


あっという間に授業が終わり、私はいつものように帰宅路を歩きながらそう呟いていると……私とは向かい側の信号の近くで、綺麗なお姉さん発見!!ヤバい!テンション上がる!!これは!信号が青になったら、すれ違いざまに匂いを嗅ぐチャンス到来よ!

信号よ!早く青になれ!と、念じたのが通じたのか、信号は青に変わり、その綺麗なお姉さんが歩き出し、私も何気ないふりをして歩き出そうとしたその時……


ブオォォォ〜ーーーーーーーーーー!!!!


お姉さんに向かってトラックがもうスピードで突っ込んできていた。チラッと運転手を確認したら、運転手は居眠りをしていた。って!?何で居眠りしてて器用にもお姉さんに突っ込もうとしてんのよ!!?

とにかく!気づいた私の反射神経は流石としか言いようがなかった。


「お姉さん!!危ない!!!!」


「えっ……!?」


悪いとは思いつつも、私はお姉さんを突き飛ばして信号機がある方まで飛ばした。けれど、私に出来たのはそこまでだった……


ダアァァァンッ!!!!


私はトラックに轢かれ、跳ね飛ばされていた……


あぁ……トラックに轢かれたのに……あまり痛みを感じないのね……これって……私がもう死んだってことかな……?


あの乙女ゲームもやってみたかったし、もっと綺麗なお姉さんの匂いを嗅ぎたかったけど……綺麗なお姉さん守って死んだなら本望かな……


あぁ……でも……一つだけ心残りがあるとしたら、さっきのお姉さんの匂い嗅いどくんだったかな……助けるのに夢中で、匂いを嗅ぐの忘れてたよ……私とした事がなんたる不覚……


そして……私の意識は途絶えた……

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