第22話 内視鏡検査


最近胃腸の調子が悪い


男は気乗りしなかったが

やむを得ず内視鏡検査を

受けることにした


根っからのビビリの性格と

投資で得た資産が相まって


彼はスイスの会員制

最先端アンチエイジング

クリニックで検査を受けることにした


クリニックの説明では

たった一回検査カプセルを飲むだけで

胃腸の老廃物や毒素を

約八割も除去出来るという

しかもポリープやがん細胞は

その場でマーキングされるので

瞬時に胃腸全体の詳細を把握出来る

とのこと


さすがは最先端の施設

一回二百万円という高額な検査代

も惜しくなくなった


ひとつ問題は

カプセルが体外に排出されるのに

約一週間掛かるという


その間はスイスに滞在して観光

しても何をしても自由だが

必ず一週間後に病院に再び

来てくれ、という


彼の仕事は投資のため

パソコン一台あればどこでも

出来る

休暇を兼ねてチューリッヒで

のんびりとすることにした


そして一週間後

再び施設に行き

カプセルを回収するから

とトイレに案内された


そのトイレは特注の物で

便の排出と共にカプセルも同時に

回収される、という説明だった


彼は

トイレに入るや否やすぐに便意

をもよおし、スムーズに事を終えた


しかし、妙な残便感が残る

気持ちが悪いのでトイレット

ペーパーで強くふき取ると


ペーパーの中には

明らかに生きている

ピンクのミニブタがぴぃびぃ

鳴いていた!


いや、最近ペットとして流行の

ミニブタはもっと遥かに巨大なので

超超マイクロブタとでも呼ぶべきか・・・


ともかく、胸元から老眼鏡を取り出し

じっくりとそのマイクロブタを観察すると

腹の辺りにメイド・イン・チャイナ

と書かれている


ブタが・・・

わたしの体内で・・・

わたしが消化しきれなかった

残りカスを食べていたのか??


あっ!

もしかして、あれか!


彼は数か月前に見たニュースの記事を

思い出した


その記事は以下のように書かれていた


中国

国際法を無視した

遺伝子・分子操作により

様々な怪物まがいの動物

を生み出す


特にその一部品種では超小型化に成功

極秘で人体実験も開始している模様







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