第5話 学校で……
アルトリアに着いたメル達。
「早くロペスさんを病院へ連れて行かないと!」
「ここからだと中央通りにあるところが一番近い! 急ぐぞ!」
メル達が病院に向かって走る。
俺はここで追跡をやめる。ロペスは俺のことをバラすことはないだろう。
「さて学校でも行くか……」
メルたちは勇者パーティーであるため学校はいつでも自由に休むことができるが、俺は今日普通に学校がある。
今行けば昼食時間までには着くだろう。
人混みを掻き分けアルトリア魔法学園まで向かう。
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学校に着くと予想通りみんな昼飯を食べている。
クラスには仲良し5人グループが3つほど別れて食事を謳歌している。
その中に一つにシャルの姿が見える。
俺が教室に入ってきたのが分かったのかシャルはグループを離れこちらに向かってくる。
「あら、ずいぶんと遅い登校ですね。メルちゃんと仲直りできたのですか?」
「全然……。てかなんでメルのことって分るんだよ……」
「貴方が遅れて来るのは可愛い妹さんのこと以外で思いつかなかっただけよ。違ってた?」
「いや……合ってるよ……」
すると教室の扉が開けられる。
「セウルス君、こんにちは」
「おう、アンジュ」
「今日はずいぶん遅かったね。何してたの?」
「アンジュさん、ルースくんは可愛い可愛い妹さんのことで私達に相談があるらしいの」
「そうなんだ。なんでも話してよ!」
シャルのやつ……。まぁ、でもちょうどいい。
「ああ、実は今メルに好きな人がいるんだ」
「あら、とうとうそういう時期に来たのね。メルちゃんの初恋よ。兄としては応援してあげなきゃね」
「それがそうはいかないんだよ。そいつはみんなの前では良い奴なんだけど、俺が調査した結果、裏ではクズだったんだ」
「その調査のことはメルちゃんは知ってるの?」
「……」
「まぁ言ってたら確実に止められてるよね。それに調査したことがバレたら確実にもう会ってくれなくなるよ」
「そのくらい分かってる」
「クズって……どんなことしてたの?」
実は魔人で勇者であるメルを殺そうとしてる、なんて言ってもアンジュには信じてもらえないだろう。
シャルは……信じるだろうな。こいつは俺の力を知っているから。
「人を脅して金を取ったり、何人も女の子を取っ替え引っ替えしたかな」
「それはひどいね! 妹さんにはそのこと話したの?」
「いや、調査したことがバレたらやばいから言ってない。言っても俺のことは……信じない……」
「うわぁ! 泣かないでセウルス君!」
自分で言ってて悲しくなってきた。
妹に信じてもらえないなんて、そんな兄に生きている価値はあるのだろうか……。
不意に涙が出てくる。
「セウルス君、落ち着いて! 妹さんもきっとセウルス君のこと大事に思ってるよ!」
「本当にそう思うのか……?」
「うん! きっと多分確証はないけど!」
「それはどうかしらね。私は嫌だと思うけど」
「ずーん……」
「うわぁ! シャーロットさん! そんなこと言っちゃ駄目だよ!」
やっぱりそうだよな……。
俺はメルに相応しくない。けどやはりあの魔人は消さなければなるまい。
メルにバレる前に……殺るか……。
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