第二夜・XYZと邪教徒達と謎の女


過激派仏教系新興宗教、『無明転覆教』教祖、九々本騒蓮くくもとそうれんは扇動する。


「数年前、悟り世代というのがありましたがそれらは無明世代と言うべきなのです、心が迷いや疑いに支配され物事を正しく判断できない状態を無明と言いますが、対人関係の不和、SNS中毒、政治への無関心、性教育が不十分による性の歪み、偏見や差別、そのどれもが無知から来ます、智恵があれば人は迷わず、疑わない、ですから無明を転覆、即ち私に従ってください、のうのうぼろう仏は遅い、この資本主義の淀みに満ちた世界に仏罰は下らない、この新たなる大黒天シヴァの生まれ変わりであるこの私に従え!嚇怒に狂ってよろしい!無明など下らぬ!今、諸君らが貧困に苦しむのは自己責任ではない!社会責任だ!繰り返す!自己責任ではない!社会責任だ!ゆえに我々はクーデターを起こし!この現世に極楽浄土ユートピアを築かん!行くぞ諸君!地獄の時間だ!」


「「「「うおおおおおお!!!」」」」


その九々本騒蓮の目の前にいるのは人間ではない、全てが全て魔物の類いであった。


彼等は社会への不満を起爆剤として魔物へと落ちていった、これ即ち『邪教の類い』だ。


👁️👁️👁️


二丁拳銃を持ち、火もつけず曲がりくねった煙草をくわえ、シルバーアクセサリーをじゃらじゃらさせ、ダボダボのファー付きカーキ色のコートとよれよれのシャツにズタズタのジーンズをしている無精髭の男はその扇動していた教祖と魔物の軍勢の上の天井を突き破りながら落下していく。


「そうだぜ?もはやwelcometohellだ」


鬼神ヶ浦瀬徒きしんがうらぜっとは青くカラーリングされた右手の拳銃を下に向けた。


「雹乱!!!」


そして雹を魔物の軍勢に降り注がせた。


「ぐごがぁっ!」

「ぐぎゃぁ!」

「資本家の手先カーーーン!?」

「に、逃げろ!俺はストレス発散のためにテロリズムしたかっただけだ!もう家帰る!」

「だから引きこもってた方が楽なんだよ!官警はこういうのに過敏なんだよ!畜生が!」



雑魚ニート共は黙ってろ!!」


その言葉に逃げようとした魔物は逃げるのをやめて、その声の主の方を仰ぎ見る。


デ、デカーーーーイ!


こ、これは巨人なのか!?


口径はなんと28mm。44マグナムの口径が約10.9 mm(0.429インチ)、トビー氏がレミントン1859をスケールアップしたもので、2005年に世界最大のリボルバーとしてギネスブックに載っている『トビー・レミントン』、それを軽く片手持ちして、加えてそれを二丁拳銃にしている巨漢。


その巨漢の顔は熊である。

彼は熊人間だった。


それはもはや大砲を両手に持っているのに等しい、それを上にかかげ、乱射を始めた。


「巨人症として生まれた俺は身体の差異を虐められた、そして俺は巨人である事を誇りを持ち、暴力の化身、熊となったのだぁ!!」


「暴力の化身?なら俺は地獄の化身だぜ!」


今度は赤くカラーリングされた左手の赤い拳銃を構え、大きな火の玉を作り、解き放つ。


「絶爆轟球!!!」


それは『トビー・レミントン』から発射された弾丸に当たり、大きく爆発していった、その余波は他の『トビー・レミントン』から発射された弾丸も粉々に爆砕粉砕大喝采した。


「もう一発!絶爆轟球!!!」


九々本騒蓮は戦闘中の熊人間にこう言った。


野杖武乱のずちぶらん、その男を倒さなくていい、ただ、地面に落下するまで死なないで下さい、地面に落下するまでの間、私は彼と同じように『魔術式』を練らせてもらいますから」


「元よりこの命、教祖様に捧げる定め!」


そして野杖武乱は二つの『トビー・レミントン』からまたもや乱射を始めたのだった。


鬼神ヶ浦瀬徒は絶爆轟球がまた『トビー・レミントン』の弾丸に当たり爆発した後、青いカラーリングされた右手の拳銃で大きな雹を斜めに向かって遅く放ち、それに足を置く。


それにより落下先の方向は野杖武乱から教祖九々本騒蓮に変わる、そうした後、もう片方の赤くカラーリングされた左手の拳銃を斜め上にかかげ、零距離爆発して落下速度を加速させたのだった。


九々本騒蓮はそれに感心する。


「そういう『魔術式』の使い方もあるんですね、いやはや、流石は『鵺殺しの鵺』、|我等には忌々しき『終焉ゼット計画』のプロトタイプ、その中でも『四番目の死神』と呼ばれた個体ですね、ですがこちらの『魔術式』も負けてはいられません、嵐の神、ルドラの力を解放させましょう、鎌鼬・一重斬ひとえぎり!!」


大きな真空波が鬼神ヶ浦瀬徒の頬をかすめ、そのまま野杖武乱に向かい、彼を真っ二つにしてしまった。


「また、を斬ってしまったな」


九々本騒蓮が仲間を殺してなお死体を嘲る。


「………魔導師らしい言い種だな」


「魔導師ゆえに、至極当然の言動だ、今度はしっかり狙おう、鎌鼬・三重斬みえぎり!!!」


それにより、鬼神ヶ浦瀬徒の乗っていた雹は三当分されてしまい、鬼神ヶ浦瀬徒は斜め下に落ちることをやめ、まっ逆さまに落ち始めた、その間にも九々本騒蓮は技を続けた。


「それでは、お別れの時間だ、風の真空波の数を三倍にしよう、鎌鼬・九重斬くのうぎり!!」


それを鬼神ヶ浦瀬徒は空中にいながらも、五つはよけるられたが両脇腹と腹部辺りの正中線の三ヶ所深く抉ってしまった。


「どうした?三つも食らってしまったのか?なら、優しくない自分は今度は十一倍にしてあげよう、鎌鼬・九十九重斬つくもえぎり!!!」


「三つの傷の三十三倍も変わらんな!!」


鬼神ヶ浦瀬徒は地面に着地した後、とてつもない蛮行を始めた。


それは無策のままの特攻、全身がズタズタになろうとも乱射をしながら九々本騒蓮に迫る、片方の右耳は削げ落ち、両腕は千切れかけ、片足は飛びきってまで、迫り続ける。


「狂ったか!鬼神ヶ浦瀬徒!!」


九々本騒蓮は思わず叫ぶ。


それに鬼神ヶ浦瀬徒は返答する。


「そうでもないさ………の『魔術式』はまだ発動してない、この二丁拳銃が魔導具でしかないと気づかなかったのか?」


九々本騒蓮が推測し、そして青褪めた。


「貴様そのものの『魔術式』?まさか、貴様は不死身とでも言うのか?」


九々本騒蓮の目の前に鬼神ヶ浦瀬徒は立った、その鬼神ヶ浦瀬徒はみるみる元の姿に再生していき、五体満足大満足になっていく。


、それがこの俺様こと終焉ゼット様だ、そしてこっちの右手の赤い拳銃が熱血格闘家筋肉娘の成れの果ての『終結ワイ』、こっちの左手の青い拳銃が女流将棋真剣師の末路の『終局エックス』、だ」


「に、人間を魔導具にするのか?そ、そんなのこの私でもしないのだがね、ん、まさか、いやそのまさか、を魔導具したのか?貴様は、それでも、人間のつもりなのか!?魔導具になった人間の気持ちを考えたことがあるのか!貴様!」


「これでも純愛だよ、黙って死んでくれ」


二丁拳銃は既に九々本騒蓮の右手の拳銃は右目に左手の拳銃は左目に照準されていた、そして放ち、九々本騒蓮は頭を爆散させた。


「「「きょ、教祖様ーー!」」」


逃げなかった信者達が彼の死に慟哭した。


「逃げなかったのか、カルトってえぐいな」


鬼神ヶ浦瀬徒はそう言い、信者達の残りを皆殺し、こうして『無明転覆教』の教祖と信者達は永遠に無明に落ちることになる。


👁️👁️👁️


「魔導師が形だけでも庶民救済を願うとは現代社会の歪みの極みを感じるな……」


「私もそう思うわ」


「!?」


二丁拳銃の『終結ワイ』と『終局エックス』を懐にしまって呟いた瞬間、その存在は唐突にその場に現れた、いや、元からいたといっていい、その存在は魔物に変身していて、彼の殺戮の途中で気配を完全に消していた存在だったからだ。


もはや気配を消すのをやめたその存在は紫煙の香り、それは日本人にとってはキツく、中国製特有の香りに拘った香りを放っていた。


「誰だ!」


背後を振り替えると、そこには紫色のウェーブの長い髪に紫色のチャイナドレスをした中国製の煙草を吸っているケバい女がいた。


「私は日本人同士が身内もめするのを俯瞰するのが趣味の悪趣味な女だよ、しかしまぁ、统治者マスターの言った通り、本当におぞましい男だね、鬼神ヶ浦瀬徒」


鬼神ヶ浦瀬徒は最後の言葉にこう返した。


「はっ、魔導師の代眼者ゲイザーかよ」


しかし、彼女は首をふる。


「ううん、これは趣味よ、終焉ゼット計画そのものは日中韓の特亜三国共同開発だったからね、私も元々、あのセクションの人間よ、自分そのもので人体実験したマッドサイエンティストよ、そうね、だから起源ゼロと名乗ろうかしら、これって運命?」


彼女は不気味に微笑んだ。

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