約束ですよ♪
「先輩!今けっこうお金もありますよね?食べ歩きましょうよ!」
身体に疲労感はあるものの、王都探索を始めた俺達の足取りは軽い。
なんてったって、王都だ。
エアロの街並も綺麗だったが、規模が違う。
中心に近づく程建物は高く豪華になっていく。
行きかう人達の恰好も小奇麗な人達が多く、美女が多い。
もう王都に住んでいる娘なら誰でもいい。
抱いてください。
休憩できるお店の場所をチェックしておこう。
王都にいる美人達は、日本人のような顔つきではなく西洋系の顔の美人だ。
俺の視線が女性の胸、腰、生足をペロペロしていると、よつばに耳を引きちぎられるのでほどほどにしておく。
王都には川も流れており、水辺で遊ぶ子供や涼む老人、何やら仕事をしている人達もいてとても賑わっている。
中心区はあまり買い物する場所もなく、噴水や建造物を楽しむ観光用だ。
小腹も空いていた俺達は商業区へ向かう。
「よつば、どんなものが食べたい?」
真剣に悩んでいるよつば。
しばらくすると
「そうですね、なんか王都にきたんだっ! って思うものがいいです。気軽に食べられる贅沢品、がいいですね♪」
「なんだそれ」
「先輩甘いものも食べるじゃないですか、そういうのどうですか?」
なるほど、それもいいな。
いろんな露店がある中でも俺達は変なクレープ屋が目についた。
薄いパン生地の上にブツ切りにカットされたフルーツが乗っており、それに甘そうなソース、ホイップクリームみたいなものがかかっており、無理やりクルクル巻いている。
ものすごく食べづらいんだけど、けっこう人気だ。
道端で食べてる女の子が多い。
さっそく俺達も一つずつ注文し食べることにした。
「あまーい!そして食べづらいですねぇ!」
ニコニコしながらクレープモドキと格闘しているよつば。
フルーツが乗りすぎていてかぶりつくたびに、クリームと一緒にはみ出すからうまく食べようとしても顔についてしまう。
口の中が甘くなりすぎてしまったので、さっぱりさせるために柑橘系の果物を絞ってあるドリンクも注文する。
酸味が口の中の甘ったるさをリフレッシュしてくれる。
「あ、なんですかそれ!先輩ずるい!私にも飲ませてください!」
俺が持っているドリンクに口をつけて無理やり飲み始めるよつば。
まったくお子様だな。
クローディアのことを「がきんちょクラブ」なんて言えないだろ。
「先輩……また、来ましょうね」
「なんだよ。別にいつでも来れるだろ」
それからも俺達は商業区を見て回った。
よつばは帽子を被ったりローブを合わせたり、色々な服を試着していたが結局買いはしなかった。
ローブには付与魔術が付いているものが多く、防寒・防熱・防刃・防魔等、様々な能力が付与されているものがあった。
良い能力程高かったが、安いものでもあったほうがいいよな。
「ローブとか、あったほうが良かったんじゃないの?」
「うーん。女性ものばかりでしたし……」
「お前の買えよ、お前の」
「私は後ろにいますし、攻撃も受けませんからね、なんか勿体なくて……」
むしろ治療魔術が使えるお前の防御力はすごい大切だと思うのだが。
気づいたら露店の多い区域に入っていた。
足を止め露店のアクセサリーを眺めているよつば。
「けっこうかわいいの多いですよ」
他種多様な色、形、大きさの石が並んでおり、加工ができるようだ。
よつばはツンツンと色々な石をつついたり摘まんだりしながら楽しんでいる。
指輪やネックレス、ピアスにブレスレット、何にでも加工可能。
装備品に装飾品として付けることまでできるようだ。
さらに店によっては買った石に付与魔術を掛けてくれるようだ。
「おっちゃん、買ったら付与魔術付けてくれる?」
「なんだ?彼女へプレゼントするってか?」
「そうなんですよ、安くなります?」
へへへへ、ここは下手に出て安くしてもらおう。
可愛らしくお目目をキラキラさせておっちゃんを見つめる俺。
「だったらケチなこと言うもんじゃねーよ!」
ガッハッハッ!と笑う露店のおっちゃん。
なんだよ!!
彼女ってことにしたら安くしてくれると思うじゃん!!
「まぁ怒るなって、安くしてやるよ!」
そう言ってはまた笑うおっちゃん。
もう店変えようか。
こんなクソな店だめだな。
よつばは真剣に選んでいるようで、紫色の石の中から選んでいる。
しょうがないな。
「なんか欲しい感じのあった?」
「いいんですか?」
「まぁ一個くらいはね、余裕あるし」
「じゃあ……」
よつばが俺に渡してきたのは小さな紫色の石だった。
アメジストっぽい紫でビー玉くらいの大きさだ。
「それはアーストの石だな。付与魔術としてはだいたいなんでもつけられるが、石のサイズが小さいから初級付与魔術に限るぞ」
「ちなみに初級の何がつけられますか?」
「まぁ、つっても俺が使える付与魔術だけどな。防汚・防毒・防熱・防寒・防魔・ってところだ」
「防汚?ってなんですか?」
「汚れが付きにくくなる。だな。気休め程度だ」
うーん。実用的に行くのであれば防毒とか防魔かなぁ。
「よつばはどうしたい?」
「防汚……いいですね……」
あ、それがいいの?
「別によつば汚れてないぞ?臭くもない」
「ちょっと! 嗅がないでくださいよ!!」
照れながら怒るよつばは少しテンションが高い。
買ってやるか。
「それに防魔の付与つけてネックレスにできますか?」
「おう。5,000Gだな、と言いたいところだけど4,800Gでどうだ!?」
高っ!! なんだそれ!?
値切るしかねーな!!
「300!!」
「はぁ!? 300!?バカ言うなよあんちゃん!4,500G!」
「まだまだぁ!! 400G!」
「冷やかしか!? 4,400!」
結局周りが引くくらい値切り合戦をし、3,500Gまで値切ることができた。
ネックレスになったアーストの石はキラリと輝きよつばに身に付けられる事が嬉しそうだ。
「先輩!ありがとうございます♪」
「おう」
「けどなんで防汚じゃなくて防魔なんですか?」
「安全のほうが大切だろ」
「そうですね」
よつばは俺の答えに満足したようにニコニコしている。
「そういえば、女の子にプレゼントなんて初めてだなぁ」
「ふふふ。先輩の初めてもらっちゃいましたね」
よつばは真剣な顔をして俺を手を取る。
なんだよ。ドキがむねむねするじゃねーか。
「先輩、今日のデート忘れないでくださいね? また来ましょうね!」
「そうだな」
「約束ですよ♪」
俺達は宿に戻ることにした。
=========
翌朝。
訓練の疲れからか、少し寝坊気味だ。
グッと背筋を伸ばし腕を伸ばす。
ココもグッとケツを上げて前足を伸ばして伸びている。
「……ふぅ」
大きく深呼吸をするとさっそく身支度を整えて1階に降りる。
今日は俺が一番か。食堂にはまだ誰も来ていない。
さっそく朝食を取りながらよつば達を待つ。
………………
…………
……
朝食も食べ終わってしばらく待っていたが誰も降りてこない。
いくらなんでも遅いな?
ちょっと呼びに行ってみるか。
俺が階段を登ろうとした時に宿のおばちゃんから声がかかる。
「そういえば!お兄さん。よつばさんから手紙を預かってるよ」
「え? 手紙? よつばは?」
「朝早く3人で清算して出ていったけど…… 聞いてないのかい?」
おばちゃんは俺に手紙を渡しながら答える。
「え。宿を清算って?」
「まだ宿泊は残ってたんだけど、もういいみたいでさ。先払いで貰ってた分は清算したよ」
え!?
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