第7話【地下通路と隠し部屋】(4)


袖で口を覆うが部屋を漂う古臭さと、灯りによって写し出される埃が年季の入り方を教えてくれる。


「うわ~なんだろうねここ!!」


楽しそうに話す彼女を見て、僕は悲しさと寂しさが混ざったような感情になる。


「ここにあるのは、どれも昔の今更見たって何の得もないぞ」


僕が投げ槍な口調でそう言うが、彼女は耳を貸さずに埃まみれの【本棚】や小さな額縁に入った【写真】、それとプレゼントボックスの様な【小包み】を隅から隅までくまなく調べている。


(至って、シンプルで平凡で…… )


綺麗な顔が真っ黒になっても、特注品のドレスが汚れても必死にあるものを探していた。


僕は、ライトを照らすだけで何もしてやれなかった。

【真実】に陽の目を浴びさせるのは、正直怖かったんだ。


「勇者君……あったよ!!」


小さな部屋で彼女の声が反響すると共に僕は、我へ返った。


【結末まで残り1124文字】

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