第7話【地下通路と隠し部屋】(4)
袖で口を覆うが部屋を漂う古臭さと、灯りによって写し出される埃が年季の入り方を教えてくれる。
「うわ~なんだろうねここ!!」
楽しそうに話す彼女を見て、僕は悲しさと寂しさが混ざったような感情になる。
「ここにあるのは、どれも昔の産物だ今更見たって何の得もないぞ」
僕が投げ槍な口調でそう言うが、彼女は耳を貸さずに埃まみれの【本棚】や小さな額縁に入った【写真】、それとプレゼントボックスの様な【小包み】を隅から隅までくまなく調べている。
(至って、シンプルで平凡であの人らしい…… )
綺麗な顔が真っ黒になっても、特注品のドレスが汚れても必死にあるものを探していた。
僕は、ライトを照らすだけで何もしてやれなかった。
【真実】に陽の目を浴びさせるのは、正直怖かったんだ。
「勇者君……あったよ!!」
小さな部屋で彼女の声が反響すると共に僕は、我へ返った。
【結末まで残り1124文字】
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます