CHAPTER 10
「ぎゃあああっ!? な、なんだこいつらぁっ!」
「た、退却、退却だあぁあっ!」
――GRIT-SQUADと名乗る、国連軍の超人戦士部隊。彼らは銃火を放つ兵士達を、その圧倒的な特殊能力で次々と退けていた。
CAPTAIN-BREADとABG-00――
「……来たな!」
『ギャオガアァアァッ!』
だが、その快進撃も最後まで一方的に……とは行かず。彼らの前に立ちはだかる5機の機甲電人が、その牙を剥いていた。
「なんとしても奴らを1人残らず捻り潰せッ、
『ギャギギギィイッ!』
「ハハッ、随分と分かりやすい小悪党じゃないか。クラフ、ボク達は先頭の1機だ!」
『了解、マスター。我々との格の違い、というものを教えて差し上げましょうか』
奇声を上げる冷たい鈍色の鉄人達が、群れを成して雪崩れ込んでくる中――GRIT-SQUADの面々は全く怯むことなく、2mを超える機甲電人を相手に真っ向から対決していく。
『ギュイィッ!』
『随分と野蛮な鳴き声ですね。脳筋対決になるのは、御免被りたいところですが』
「脳筋ってボクのことかい?」
『……スミマセン、ヨク聞キ取レマセンデシタ』
『ビィィギィィッ!』
「……ここが貴様の死に場所だ。貴様に命というものが在れば、だが」
「無駄な戦闘は避けたいんだがな。……邪魔する気なら、容赦はしない!」
『ゴォオオボォオォォッ!』
『ジィィギュイイイッ!』
「
「魔人より強いって話、どこまでマジか試してやろうじゃねぇか。……どっからでも掛かってきな、六戦鬼!」
『ギゴォオオォオッ!』
それぞれの命と誇りを懸けて、挑み行く。この荒れ狂う吹雪に包まれた、戦場を舞台に。
「くそっ、くそぉっ、こんなはずでは……ええいお前達、何をしておるか! 逃げたところでお前達は、国連の処分を待つばかりなのだぞッ!」
「し、しかしあんな化け物達を相手に……!」
一方、大臣は超人と鉄人の対決を前に逃げ出していく兵士達に罵声を浴びせ、喚き散らしていた。しかし、実際に戦ってなおも力の差が理解できないほど、兵士達も愚かではない。
事実上の最高権力者による命を受けてもなお、彼らは銃を握る手の震えを止められずにいた。
「うるさいぞ腰抜け共が! なんとかせねば、なんとか――!?」
そんな彼らにますます憤慨し、頭を抱えていた大臣は――ふと、顔を上げて。
「……!」
宮殿を見下ろす丘の林から、戦況を見守っていた私と。目が、合った。
次の瞬間、何かを思いついたように口元を吊り上げた大臣は――欲望を滾らせた眼差しで私を射抜き、指先を向ける。
「――エヴェリナ姫だ! お前達、エヴェリナ姫を捕らえろ! 奴らの目的は我々の排除と、エヴェリナ姫の救出だ! 姫さえ手中に収めてしまえば、奴らは何もできん!」
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