高知旅、こぼれ話。

2012年の高知旅、記憶をたぐり寄せて、これまでの投稿でこぼれ落ちた話を拾っていきたいと思います。


観光タクシーの話は散々書いたけれど、タクシーには4回乗り、うち2回が観光タクシーだった。

中岡慎太郎の生家跡に行った時のオモロいオッちゃんからは、また高知に来ることがあったらぜひ見なさい、ということで、ベタなところでは絵金、土佐犬の闘犬、しゃも闘鶏を勧められた。

絵金(えきん)とは浮世絵師の名前らしく、すばらしい屏風絵が残されているらしい。感動間違いなしだそうで、興味を引かれた。


土佐犬の闘犬はかなり激しいものらしく、おネエさん(私のこと)だったらひょっとしたら引いちゃうかもしれないと言っていた。その様子を詳しく教えてくれたけど、うん、確かに引くかもしれない。

闘鶏の方がまだしもマイルドかも。


それにしても、高知は血が熱い。


高知、土佐というと、幕末から時代に先んじた地域という印象だけど、その証左の一つとして野良時計というのがあって、時計のなかった時代に安芸の人が自分で作ったものらしい。なんとなく、これを通りすがりに見せてくれたような気もするのだけど(屋外にあるらしいので)、いま思い返すと記憶が定かでなく。


おすすめの中で一番興味を引かれたのは、美空ひばりゆかりの大杉。高知で事故にあったひばりさんが願掛けをした杉だそうで、有名になってからお礼参りに戻って来たとか。そのへんはさておき、樹齢3000年と聞くと見たくなる。


「高知にはおもしろい物がいっぱいある。オレでもまだ見切れてないき」と最後にオッちゃんは言った。


このタクシーのオッちゃんと別れたあと、路面電車で高知城へ行こうとした。いつものように自信がないので、電停で隣にいた若い女の子に「どれに乗ればいいか」確かめた。その子のつけまつげが、今まで見たことのない形のもので、そこに目が釘付けになってしまう。

「高知はおいしい物もいっぱいあるき、楽しんでいってくださいね」なんて言ってくれて、女の子の高知弁、かわゆい〜♡と内心テンション上がった。下りる所に来たら、「ここです」って教えてくれた。

それにしても、あのつけまつげは。。。


高知城を一通り見て(実は、詳しくはないけど城好き)、ゆうべ約束したもう一台の格安観光タクシーと待ち合わせ。

この運転手さんがまた、午前の人とは打って変わって、やさしくてかわいらしいオッちゃんだった。

オッちゃんの奥さんは広島県出身の人で、職場で知り合って結婚。高知の人から見ると広島の人は「都会人」らしく、「よくワシなんかと結婚してくれた」みたいに言っていた。

高知では兼業で農業をする人も多く、オッちゃんも畑をたくさん持っているそう。最後は空港まで送ってもらったのだけど、空港の周りは一面の畑で、その中にオッちゃんの畑もあるんだとか。子供が小さいころは畑から子供が飛行機に手を振ると、パイロットが手を振り返してくれたもんだと言っていた(見えるの!?)。

最初は農業に興味を示さなかった奥さんも、今では率先して畑をやるようになり、タクシー乗務の合い間に二人で作業する時間が楽しい、というほのぼのした話を聞かせてくれた。また高知に来ることがあったら、自分を指名してと名刺をくれた。


県土の7、8割が山か森林なのに、高知の人の農業への情熱には本当に驚かされる。檮原(ゆすはら)へ向かう山の中腹の光景もそうだけど、兼業してまでやるとは。。。


旅先で畑の風景を見て、帰って来てからスーパーでその県の農作物を見かけると、旅の風景がよみがえってくる。そして、あそこの人たちが作ったんだなぁって感慨が湧き、その野菜に親しみを覚える私。そういう感覚は、この「高知」から始まったんだった気がします。

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