ギリシャが天国だった時。
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2009年に、もっともっと前に行った旅行を回顧して、別ブログに掲載していたものを転載。
あれからギリシャもいろいろあって、今はどんなふうなのだろうか、気になります。とはいえ、あの時感じたギリシャの皆さんの幸福そうな雰囲気と、そういうものに憧れた気持ちは、私の中で一生消えないと思います。
※ジャスミンが生えてるところを初めて見たのも、この時です。
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ギリシャに一度だけ、行きました。
冬で、「オフシーズンのピーク」でした。
地元の人曰く、年間20日くらいしか雨が降らないとのことだったのだけど、私たちがギリシャにいた約10日の間、雨が降らなかった日は数日あるかないかだった。
というわけで。
ギリシャは、猫とおばあさんとお坊さんが多いって聞いた記憶があった(例によって、私の記憶はよく間違ってるが)。
たしかに、黒くて長いガウンをまとった宗教者とよくすれ違ったし、言われてみれば、おばあさんも多かった。もちろん猫も多くて、人がいなくても猫だけはいる、みたいなところもあった。
全然関係ないけど、女性にヒゲが生えてるというのも、本当だった。
ほかにもざっとした印象でいえば、ギリシャ人は背があまり高くないので、親しみが持てる。そしてギリシャ語は、「ペラペッラ、ペラペッラ」という感じで、ケンカしてるような印象の言葉だった。
ある時、私たちが、あてどなくアテネの住宅街(?)の路地を歩いていると、遠くから普通のオジさんに呼び止められました。
「アンタたち、日本人かい?」と。
遠目に見ると、確かに、そう言うアナタもアジア顔。
「そうです」と答えると、オジさんは「やぁやぁ」とさらに話しかけて来て、そこに生えてる植物がジャスミンだとか、いろいろ教えてくれる。
なんでも、広島出身のオジさんは、6年くらいアテネに住み着いてるっちゅうことで、石工をやってるそう。
オジさん曰く「日本でアクセクしてるのがイヤになって、こっちに来た。月収は、日本円にして2万とかそんなもんだけど、十分食べて行けるし、何よりギリシャは楽しい。ここに住んでから、とても幸せだ」と。
その言葉は、今もずっと私の中にある。
確かに、オフシーズンだったとは言え、アテネのサービス業の人々は仕事熱心には見えなかった(注:2009年当時)。そういう国民性ゆえの、現在の国の経済力の位置づけなのだろうけど…。誰もみんな幸せそうだった。
17時くらい、観光客の私たちが、そろそろ夕飯のために落ち着ける場所を見繕う態勢に入る時間になると、飲食店や土産物店の店主たちも「もう仕事はいいや」って感じで、数人が近所の軒先に集まってテーブルと椅子を整え、カードゲームに興じる。
っていうか、こっちはこれから食事したいんですけど…っていう目で見ると、ん? 食べるなら食べていいよ、みたいなゆるさ。
もちろん仕事熱心な店もあって、そういう店ほど日本語で勧誘することが多い。「安いよ安いよ」とか言って迫って来る。言葉は忘れたけど、イタズラで教えられたのであろう、ひわいな日本語を言ってきたオッさんもいた。
この旅行が終わりに近づいた時、日本での日常に戻ることがとてもさびしくて、しかも、本当に日本はアクセクしてるな~ということを、初めて実感として感じてしまったので、広島出身のオッちゃんみたいに、こういうところに住み着いちゃおうかな~などと、本気で思ったりしました。
そんなんで、成田に降り立った時も、すべてが灰色に見えてビックリ。色がない。ギリシャではよく似合っていた現地のカラフルなアクセサリーが、ミョーにチグハグに感じられ、すぐにはずしたのを覚えている。
さておき、一番ノンキな国だな~と感心させられたことというか、おもしろがって見ていたのは、名物トロリーバス(路面電車?)。
私たちは、ツノと呼んでいたのだけど、車両のてっぺんから電線へと伸びているアンテナみたいなヤツが、カーブとかでしょっちゅうはずれるのです。
そして、はずれると、数人の乗客が自ら降りて、みんなでヨイショと元に戻すのであった。。。しかも、すごく手慣れてる。
ということは、本当に日常茶飯事、もっと言うと、トロリーバスに乗車するということの中に、ツノを直すという行為が当たり前に含まれてるっていう感じ。
この場面は、滞在中、何度も何度も見ました。
おもしろ過ぎる。。。
(日本だったらすぐに、外れないように改善しろとなるはず。っていうか、そもそも外れるような仕様のものを稼働させるわけがないような気がする)。
猫にとっても、人間にとっても、ギリシャは天国!? めでたし万歳!
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