第16話
『さて、これからどうするマイモンスター?』
オデの護衛を勤めていた侍女が姫達のところに去った後、創造主が脳内に声をかけて来た。少し声が笑っている気がするが気のせいだろう。流石にこの途方もない状況を笑うほどダメ人間じゃないと思う。
『ぷっ。それにしても異世界に召喚されるは、いきなり強敵に出くわすは、あげくのはてに全く土地勘のない場所にほったかされるなんて、マイモンスターは不運の塊だな~。』
気のせいではなかった。やはりオデのこの状況を面白がっているようだ。創造主はクズ人間に違いない。
「ゴブブココブコッブブコ!。(少なくともオデが召喚されたのは創造主のせいだ。)」
『あーあー何も聞こえな~い。』
「…。」
はぁ。まぁいい。どうせ過ぎたことだ。今はこれからどうするかだ。
「ココブンコッココココ(当初の目的どおり森を抜けた先の村まで行くか。)」
村にたどり着ければ、常駐の王国騎士がいるはずだ。姫達が危ないことを知らせれば上の者に伝えるなり勝手に動いてくれるだろう。
『へい!』
そうと決まればさっさと移動しよう。大分離れているとはいえ、異常に魔物が出ている森だから何が起きるかわからない。
『HEY!』
陽がだいぶ傾いている。陽が沈む前に村にたどり着きたい。
『へいへいへーーーい!!!』
「ブッココンブ!(さっきからなんだ創造主!)」
こっちはさっさと村に移動しなければいけないのに。
『村には行かない方がいいと思うけど。』
「コブブッコ?(どうしてだ?)」
村に行くことは当初の目的であるし、他にどうしようもないだろう。
『さっきまではメイドちゃんがいたから良かったんだけどさ、マイモンスター1人だと魔物と勘違いされて殺されちゃうと思うよ~。』
「ごぶ!(確かに。)」
そういえばそうだ。オデのことを知っているのは城に勤める人達だけなのだった。
『ていうかそもそもの話。村はもう無いんじゃないかなー。』
「ごぶ?(なぜ?)」
言っている意味がわからない。この森に入る前に通ったときは、小さい村ながらも活気に溢れていた。閑散としていた村ならともかく無いなんてありえないだろう。
「こぶ…!こぶぶっこぶんふこ?(あっ…!村人が避難しているかも知れないからか?)」
そういえば姫が村人達に避難指示を出していたような気がする。
『ん?ああそれもあるけど、さっきの巨魔牛のせいで村壊滅しているんじゃないかな。この道の先に村があるわけだし、巨魔牛はそこから来たのだから無事なことはないだろう。』
「!こぶぶ…。(確かに…。)」
例え侍女が共にいたとしても、村に行っても無駄だったのか。
しかしこれからどうする。
「コブブンココブンコ。(まだ姫達のところにいた方が良いか。)」
魔物と戦っているが、戦闘経験豊富な彼らの側にいた方が安全だろう。
『騎士達強いんだと思うけど、流石に彼らも壊滅しているんじゃないかなー。背後をあんなでかい化け物に突かれたら、いくら強くても大ダメージでしょ。』
「ごぶぶ………ごぶんここ!(またしても巨魔牛………姫達は!)」
姫達は無事だろうか。
『お姫様は後方にいたからね…。指揮をとるために中方か前方にでも行ってくれてれば多少は可能性があるんじゃないかな。』
「コブブンコ。(助けにいくべきか。)」
まだ2日目とはいえ多少世話になったのだ。このままほっとけない。
『なに言っているのマイモンスター。異世界チートパワーとかに目覚めているのならともかく、今のマイモンスターが行ったところで焼け石に水だよ。』
「コブココンブコ!(ならどうしろと言うんだ創造主!)」
村に行くことができないのなら他にやりようがないだろう。
創造主は何か考えでもあるというのか。
『どうするってそりゃ~この森でサバイバルするしかなくね?』
「こぶ…。」
ごもっともな意見だった。
なんか異世界召喚されそうになったので身代わりに自作モンスターを送り付けてやったぜ! トマトとタケノコ @tomatake
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。なんか異世界召喚されそうになったので身代わりに自作モンスターを送り付けてやったぜ!の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます