第12話
『うわーお…。』
「「…。」」
映し出された映像に創造主は呆けた声を出し、オデと姫は声を失っていた。
映像の中では先ほどの大型魔物とは別の新しい小型魔物が現れており、大型魔物を守るように周囲を囲んで、騎士たちと応戦していた。
ただその新しい魔物が問題であった。どれもが奇怪な形をしており、腕が5本ある物もいれば、頭が2個付いている物もいる。そして共通する点としては粘液で濡れていて嫌悪感を抱かずにはおれなかった。
『グオオオオオオオオオオ!』
「「「!?」」」
突如として大型魔物が吠えた。
そして大きな口を限界まで開けると、口の中から中型ぐらいのこれまた奇怪で粘液まみれの魔物が出てきた。
これをみるに、小型の魔物も大型魔物が吐き出したのだろう。
新中型魔物をよく見ると、沢山付いている腕やら頭やらは、当初に出くわし騎士たちが退治したタヌキの魔物の物であった。そういえば先ほどその死体をこの大型魔物が食べていたが…。
「これは…うぅっ。」
「コブブ?(大丈夫か?)」
『流石にグロいわコレ。食べた生物を繋ぎ合わせて新たな魔物にするとか。』
姫が耐え切れなくなったのだろう、顔を青くし口に手を当て映像から目をそらす。
オデもあまり見たいものではない。
映像を撮影している者も恐怖を感じているのか映像がブレブレになっている。
だがそれでも騎士達は新たに現れた魔物に臆さずに向かって行っている。
継ぎ接ぎな魔物達は付いている腕や足やらを滅茶苦茶に動かして攻撃しているため、動きが読みづらい。腕や足の数によっては全方位に攻撃できる魔物もいる。
今のところ騎士の方が数が多いため、一匹の魔物に対し、数人で取り囲み隙を突いて攻撃できており優勢だ。魔物は継ぎ接ぎな分、脆くて剣の一薙ぎで崩壊する物もいた。
『この調子で行けば大型魔物以外はすぐに殲滅できそうだけど…。』
「ココブンブ。(だがそれも難しそうだ。)」
なぜなら死体となった魔物をまたあの大型魔物が食べているからだ。きっとまた新たな魔物になって出てくるのだろう。
しかも今度は近くで様子を伺っていたタヌキの魔物を捕獲し食べ始めていた。
「このままではジリ貧ですね。あの大型魔物をどうにかしなければ…。」
姫がなんとか頑張りつつ映像を見ながら言う。
「こぶぶ…。(どうすれば…。)」
大型魔物の周りには小型継ぎ接ぎ魔物が取り囲んでいる。
更に言うなら、継ぎ接ぎ魔物が居なかった時から騎士たちは大型魔物に近付けないでいたのだ。
『もうあれだな。毒殺しよう。魔物の死体に毒を盛っておこう。』
創造主が提案する。確かにあんなに無差別に食べる魔物だ。悪くない案だと思う。
「コッコッコンブ。(毒殺するのはどうだ。)」
早速姫に提案する。
だが姫は首を横に振る。
「毒餌となるものがないのです。毒殺自体は魔物退治にはよく使われる手段なのですが、ここはよく近隣の狩人が獲物を狩りに入る森ですので、他の動物にも影響が出るこの方法は使用できないと持ってこなかったのです。」
なるほど、毒餌を他の動物が食べてしまう可能性があるのか。
『う~ん、じゃあしょうがない。当初の予定通りマイモンスターは逃げよう。どうせ居ても意味ないし、なによりあんな怪物はゲームでも中盤以降にでてくるボスだっつーの。レベル1の救世主様には敵いっこない相手だ。』
「こぶ…。」
やはり逃げるしかないか…。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます