第10話 

『お姫様に立派な武器を貰えて良かったね~。』

「こぶぶ(どっかの誰かとは大違いだ。)」

結局、姫に相談して一本の剣と子供用だが作りのいい鎧を貰った。

「気が利かなくてごめんなさい。」と姫は謝っていたが、そういう気配りは姫ではなく周りの者がするべきではないのだろうか。


「救世主様。もうすぐ件の森林に着きます。まだ大丈夫だとは思いますが、急に魔物が出てこないとも限りません。注意をお願いします。」

「こぶ(わかった。)」

オデは姫に頷く。

オデらはもう魔物の出現したという森に向かっていた。

馬車に乗っての移動なので歩くよりかは楽であるが、ガタガタ揺れるためお尻が痛い。

因みにオデと姫が乗る馬車は列の後方で、前方は騎士団が馬に乗り走っている。

馬車にはオデと姫と姫の侍女が乗っていた。


『そういえばマイモンスターに言ってなかったのだけど。』

「…。(なんだ創造主よ。)」

『ついさっきパスの強化が視覚同調できるまでになったんだよね~。』

「…!(ということは今もう見ているのか!?)」

『もちのろん!マイモンスターが見ている視界を俺も見ているぜ!というわけでマイモンスター。お姫様をもっとしっかりと見せてよ。』

「…。」

 どうして創造主は姫を見たがるのだろうか。まぁいいか。

 オデはそう思い、車内の向かい側に座る姫をみる。


『おお!可愛い系のお姫様か!いや~やっぱ異世界召喚っていったら可愛いヒロインだよね~。マイモンスターもそう思うだろう?』

「…。(知らん。)」

 なぜそういう発想になるのかが全くもって分からない。


「あの救世主様?私の顔に何か付いているでしょうか?」

「…こぶ。ココブ。(いや。なんでもない。)」

 すこし姫の顔を見過ぎていたようだ。これ以上は失礼だろうからオデは目を離す。創造主も満足しただろう。


『ちょっと早すぎ!!異世界人の顔をもっと観察したかったのに。』

「…。(もういいだろう。姫にも不審がられた。)」

 創造主がわがままを言う。


『そこはさ~。「姫のお顔が美しすぎて見惚れてしまった。もしよければじっくりと見せてもらえないだろうか?」とか言えばいいのよ。』

「…。(ほう。ならば創造主は気になった相手にはそのようなセリフをいっているのだな?)」

 オデにそういうことを言うのだから、もちろん実体験があるのだろう。


『え?…いや、ないです。ごめんなさい。』

「…。(そんなことだろうと思った。)」

 少しづつだが創造主の思考をよめるようになってきた。


『……というわけでお願いしますマイモンスター。』

「…。(なにをだ?)」

『先ほどのセリフをお願いします。』

「…。(創造主がやったことのないことをオデにやらせるのか?)」

 なんて自己中心的な。


『だからじゃん!創造主のやったことないことを試すのがマイモンスターの。ってもんじゃない。』

「…。(勝手にオデの存在意義を決めるな!)」

『なんで!?存在意義の決定権は創造主にあるだろーーーー!』

 創造主がそう叫んでいるが、絶対に嫌だ。


『まったくマイモンスターは情けないな~。』

「…。(創造主に言われたくない。)」

 創造主だって経験はないのだ。


 オデが創造主と胸中で話したり、姫と話している間に、オデら一行は森に到着した。

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