第9話 

『なぁなぁマイモンスターも念のために武器を持っていた方が良くないか?』

「こぶ。(確かに。)」 

 自室に戻ったオデに創造主がそう声を掛けてきた。

 戦わないとはいえ何があるか分からないから後で姫に頼むか。


『…このくらいのパス強度ならいけると思うのだけど。』

「こぶ?(何のことだ?)」

『よし!今からマイモンスターに武器をプレゼントしてやろう!』

「コブヌヌ?(どうやって?)」

『もちろんパスを通じてさ。』

「!」

 そんなことができるのか。


『それじゃあ早速送るね~。』

「こぶ。」

 何が送られてくるのだろう。


「!?」

 突如として体に何かが流れてくる感覚がし始めた。

 それが数分続き。


『送還完了!』

 創造主の声と共にオデの体から光があふれだし、目の前に収束し始めた。

 やがて光が形どり…。


「こぶぶ!…………………………こぶ。(これは!……………………………なんだ。)」

 目の前には木の棒があった。もう一度言う木の棒があった。


『ふっふっふ~。マイモンスターよ気に入ったかい?』

「…。」

 気にいるも何もこれは何の冗談だ。たかが木の棒を気に入るわけないだろう。

 いやしかし、もしかしたら何か特殊な効果の付いてある木の棒なのかもしれん。

創造主が得意げであるし、送還にかかった時間も長かった。


「コブリンコ?(創造主よこれはなんの効果が付与されている木の棒なのだ?)」

『ん?効果?そんなもの付いてないよ。見ての通りただの木の棒に決まっているじゃん。』


バキッ


『おい!なんだ今の音は!?折った?もしかして折っちゃった!?』

「ココブココ!!(当たり前だ!木の棒なぞ使えるか!)」

 何を考えているのだ創造主は。


『ちょっと!!せっかく近くの森の中で拾ってきたのに!!しかも握りやすいように削ったりグリップとかつけて大変だったんだぞ!』

「こぶ!(知るか!)」

 その労力を使うべきところが他にあるだろ!


『もう。知識にインプットされていると思うんだけどさ。冒険の始まりの装備は木の棒って習わしがあるんだよ?しっかりそこは守らなきゃ。』

「コッコブコ(そんなものは知らん。)」

 オデの中でその知識を他の多くの知識が否定している。その知識はおふざけだと。


『全くしょうがないな~。じゃあ今度はちゃんとしたの送ってやんよ~。』

「コッコッコ(最初からそうしてくれ。)」

 

 再びオデの中に何かが流れてきた。先ほどとは違いすぐに終わり、目の前に鉄製の武器が現れた。


 オデの身長ぐらいある長さの銀色に光る鉄で、こぶし大に太く、中は空洞。掴みやすいようにグリップが巻き付けてあった。これはまさしく。


『今度は気に入ったかい?鉄パイプ。』


ガシャンッ


『ちょっと今度は何よ!?』

「こぶ!(使えるか!)」

 オデは地面に叩きつけた鉄パイプを睨みつけた。


『いやいや強いからね鉄パイプ!それで人を殴ったら即KOだってあり得るんだからね!』

「コボボブコ(オデが戦うのは人ではなく魔物だ。)」

 しかも森の中でこんなもの振り回せるかどうかわからん。


『もう文句ばっかり言いやがって、ならばマイモンスターは何が欲しいのさ。あっもしかして剣や刀とか?ダメダメそんなもの現代日本ではそう簡単には手に入らないから。まぁでも異世界ファンタジーって言ったら剣って気持ちはわかるけどさ~。ん~しょうがない。マイモンスターの為に一肌脱いでやるか。どうにかしていい感じの剣を手に入れてきてやろうではないか!』

「コブンコ。(銃をよこせ。)」

『おいいいいい!!!何を言ってんだマイモンスターーーーーー!!異世界ファンタジーで銃とかアウトだから!世界観をぶち壊すようなことはするなぁぁぁぁ!』

「コブ。コノココブブコ。(うるさい。現実と妄想の区別くらいつけろ創造主。)」

 剣なんてすぐに扱えるわけないだろ。


『え~じゃあ急だったからもう送れるものないけど。』

「コブブコ(使えない。)」

『ひどっ!』

 正直に言ったまでだ。そこでふと手に持った鉄パイプを見る。


「ココブブココブ?(ところで創造主よ。なぜ木の棒より鉄パイプの方が送還スピードが速かったのだ?)」

 ふとオデは疑問に思い創造主に尋ねる。


『そりゃあ情報量の差よ。木の棒は生物だから分子構造が複雑で情報量が大きいんだよ。その点、鉄パイプは構造がシンプルだったから楽だったわ。』

「こぶ…。(なるほど…。)」

 鉄パイプでその送還速度なら…。


「コブブ!(銃もすぐ送れそうだな!)」

『いや送らないよ!?』

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