第7話 

「救世主様お待たせしました。模写が終わりましたので、部屋を移動しましょう。」

「こぶ。(わかった。)」

 姫にそう言われオデは頷いた。

 オデたちは座って話し合いがしやすそうな部屋に移動し、席に座った。


「どうぞ。」

「コブブ(ありがとう。)」

 メイドに温かい飲み物を渡された。


「私が好きな紅茶なんです。救世主様どうぞ召し上がってください。」

「こぶ。(どれ。)」

 一口飲むと芳醇な香りが鼻を抜けた。渋さも少なく飲みやすい。


『俺、紅茶って苦手なんだよね~。それ美味しい?コーラの方が美味しくない?』

「ココブンコ(香りがよくとても美味い)」

「ですよね!」

 創造主の質問の返事をついでに姫に感想を伝えると、とても嬉しそうに微笑んだ。


『ところでさマイモンスター。お姫様って可愛い?』

「…。(いきなりなんだ創造主。人の美醜はよくわからんが可愛いのではないのか。)」

 姫の顔のパーツは整っているから醜くはないだろう。


『人の美醜が分かるようなそこらへんの設定してなかったっけな。まぁいいや。もうすぐ見れるし。』

「…。(どういうことだ?)」

『あとすこしで視覚を同調できるぐらいまでパスの強化が進んでいるのさ。』

「…。(そうか。今同調できているのは思考と聴覚だけであったな。)」

 視覚も同調できれば色々と創造主からアドバイスなど貰えるようになるだろう。


『いや~こういう異世界召喚ものってお姫様は美人で可愛いのが定番だから楽しみだな~!』

「…。(そうか。だがパス強化が着実と進んでいるようで安心した。)」

 これなら無事に一月後には本来の世界に還れそうだ。


「あの救世主様。考え事している最中に申し訳ありませんが少しよろしいでしょうか。」

「…コブウ(問題ない。)」

 姫が飲み終えたティーカップを置き、たずねてきた。


「今後のことについて軽く説明をしておきたいなと思いまして。救世主様の授かった技能がわかりましたのでそれの確認をしつつ、魔王の手下である魔物用の戦闘術を学んでいただけたならと思うのですがどうでしょうか。」

「…こぶ。コブンコ。(…ふむ。問題ないそちらに任せる。)」

 この世界のことは全く分からないのだ。姫に任せる以外の道はない。


「了解をいただけて良かったです。」

『マイモンスターは不愛想だな~。「オデ頑張るコブ~」とか言えばいいのに~。』

「…。(それはどこのモンスターだ。)」

 オデは姫の嬉しそうな顔を観つつ、創造主に呆れた。


「では救世主様。さっそく明日の午前10時過ぎごろに騎士団の者と技能を確認しましょう。」

『おっ!ようやくチュートリアルの始まりかな~。』

「…こぶ。(わかった。)」

 創造主は他人事みたいに…。


「後ほど騎士団長を紹介いたしますね。あっ紅茶のおかわりを。救世主様にも。…今日は救世主様について色々教えてくださいな。」

『こっちが色々聞きたいのだけどな~。まぁいっかどうせマイモンスターは喋れないし。』

「コブンココ。(答えられることなら。)」 

 創造主の意見に同意だが、喋れなくても筆談とかで質問することなどできるだろう。それにこの姫がなぜかオデの言葉の大体の意味を理解できていることを忘れていないか。


「それでは早速気になっていることがございまして…。」

 姫がオデに質問を言いかけた時。


「姫様大変です!魔物の群れが現れました。」

「「『!?』」」

 突如としてバタンと扉が開き、騎士が入室すると同時にそう叫んだのであった。

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