第5話

 結局、オデと創造主はオデの情報量が大きくなってしまった原因を他にも色々と考えたが、やはりオデが異世界召喚された時に何かあったのだろうということに落ち着いた。


『具体的な原因が分からない以上、ひとまずは一度に多くの情報をこちらに転送できるようにマイモンスターとのパスを強化していくしかないかな~。』

「コブンコ(どのくらい時間がかかる?)」

 早く本来生まれるはずだった世界に帰りたい。


『う~ん。マイモンスターの情報量が大きすぎるからな~。かなりパスを強化しないといけないし…。少なくとも1ヶ月はかかるとみていた方がいいかな。』

「こぶ…。(そんなにかかるのか…。)」

 オデは1ヶ月以上はこの右も左もわからない世界で暮らさないといけないのか。


『まぁまぁいいじゃないマイモンスター。普通なら体験することのないドキドキワクワクの異世界ライフだよ?せっかくだし楽しまなくちゃ!いや~出来ることなら俺が変わりたいよ~。』

「コブブンゴコ!(身代わりにしておいて身勝手すぎる!)」

 素直に創造主がこちらの世界に召喚されればよかったのだ。


『ごめんごめん冗談だよ。マイモンスターには感謝しているって。俺の代わりに身体張って異世界召喚されてくれたのだもの。うるうる。』

「コブムム。(胡散臭い。)」

『てへぺろっ』

「…。」

『…。』


『ごほん。じゃあこれからのことを話そうか。』

「こぶ。(わかった。)」

 最低でも1カ月はこの世界で暮らさなければならないのだ。色々と考えなければならないだろう。


『まずは衣食住だけど、これは大丈夫そうだね。』

「こぶ。(そうだ。)」

 姫が色々と手配をしてくれているからそこは問題ないだろう。


『まぁその分、「救世主」だっけ?その役割を担わなければならないと思うけどね~。』

「…こぶ。(…そうだった。)」

 先ほどのパーティーで姫から救世主の説明があったが、元の世界に帰れると思っていたから耳半分に聞いていた。そのためほとんど覚えていない。


『さっきのパーリーでお姫さまが救世主等について説明していたけどさ。』

「こぶ!(おお!)」

 よかった。どうやら創造主は姫との会話を覚えているらしい。


『まさに王道って感じだったよな。魔王が現れたので聖者の紋章に選ばれし異世界の救世主様よお助けてくださいって。』

「こぶ?(そうなのか?)」

『そうだよ~そういう王道系の物語についてはいくつか知識にインプットされているでしょ?』

「…コブンコモモ(入っているが王道かどうかなど分からん。)」

 そういう区別がつくのは経験のありなしによってだろう。


『へぇそうなのか。今後のモンスター作りの参考にしよう。』

「コココブブコブココブ。(そんなことよりも救世主についてどうするかだ。)」

 このままでは救世主とやらにされてしまう。


『せっかくだし救世主やりなよ~。ていうか、お姫様の援助を受けるためにはなるしかないよね~。』

「…こぶ(うぐっ)」

 確かに創造主のいうとおりだ。拒否すればまったくなにもしらないこの城の外へ追い出させられるかもしれない。


『もしかしたら、拒否した後にこっちの世界に返してくれるってこともあるかもね~。』

「こぶ!」

『救世主をやりながらパス強化が終わる1ヶ月を待つか、返還もしくは援助打ち切りの一か八かの賭けにでるか。どっちにするかの判断は当事者のマイモンスターに委ねるよ~。』

「こぶん。(むぅ)」

 どっちにしようか。

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