第20話
「櫛田さん、本当に櫛田さんはそれで良いのか?」
「何が良いのかな?」
「それは、櫛田さんは本当に俺の事が好きなのか?それとも愛してる(好きな)のか?どっちだ?」
「...かんないよ。」
櫛田さんが発した声が小さくて、聞き取れなかった。
「私の気持ちは私自身でも分かんないよ!? でも伊吹君が私をこうしたんだよ!? それならちゃんと責任取ってよ!?」
櫛田さんは泣きながら自分の心を吐き出した。
確かに言われてみればそうだ。
俺が無責任な事をして、櫛田さんをこんなんにしたんだ...
ここで突き放すか?
突き放すと、最悪の場合櫛田さんは死んでしまうかも知れない。
取り敢えず一つ一つ丁寧に言葉を重ねるしか無いな。
「責任を取るか取らないかの問題では無いんだ。」
「なんで!?責任を取るだけで終わる話でしょ!?なんで否定するの!? 私の事がそんなに嫌いなの!?」
ここで、本音を言うか?
いやでもここで何を言っても未来は変わらない。
取り敢えずこの場を凌ぐ為にやるべき行動をしよう。
「櫛田さんの事は嫌いじゃ無いし、愛(好き)でも無いよ。俺の好きは好きだよ。」
「どう言う事?」
櫛田さんはすっかり泣き止んで俺の言葉を待っている。
「友達としての『好き』だよ。」
我ながら清々しく言ったと思う。
「そっか...そうなんだ...」
「そうなんだよ...」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます