第3話 お っ さ ん

 今回、少々薬物の乱用と捉えられる場面があります。ですが当作品はそれらを推奨するものではありません。

 そして薬物は絶対に止めましょう。

 それでは作品をお楽しみください。

┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄

「うぅ......腹が......」


 腹の虫を鳴かせながら歩いているこのおっさん、容姿は貧弱なまま育ったおっさんという感じなのだが「《魔特》魔力視」を使ってもただのおっさんだ。おっと失礼、魔法を間違えた。これじゃただのおっさんの紹介になってしまう。

改めて......コホン、「《魔特》未来視」を使うとナイスガイな男になっている。

 一体何が遇ったのか気になるところだがそれが語られることは無いだろう。

 何故ならオンという男の出現によって未来が変わってしまったからだ───




 おっさんは腹を空かせ森を亡霊の如くさ迷っていたのだが丁度野垂れ死にそうなところで赤い木の実を付けた木を見つけた。

 木の実という名の生きる希望が見つかったおっさんは赤ちゃんもびっくりの猛スピード四つん這いで木までたどり着く。


「ハァ......ハァ......やっぱりこれだよぉ......これがねえとやってらんねえよぉ......!ムシャムシャ......」


 如何にも危ない人だがこれはただ木の実を食っているだけだ。別に白い粉を吸ってる訳ではないので勘違いしないで頂きたい。




 腹を満たしたおっさんからは「休日のお父さん」感が出ている。というのも歯の間に挟まった木の実のカスを爪でほじり、欠伸をし、ケツを掻いているからである。


 前の世界だけでなくこの世界でもだらけるのを欠かさないおっさん、その名を「蔵越くらごえ」という。


 蔵越は前の世界、で40近いにも関わらず懸命に社会に貢献し、皆からも信頼されている。という表向きは真面目な人間なのだが家に帰れば化けの皮が剥がれ、だらだらおっさんというだらしない人物に早変わり。これは子供のころから変わらぬもの。

 そのせいで付き合った彼女と「お家デート♡」なんてするものの、彼女たちは蔵越の豹変具合に愛想を尽かしおじゃんになってしまうということが......


 蔵越自身もなんとかしよう!とは思っているものの家に帰るなりすぐだらけてしまうのでなんともなっていないのである。


 そんな性格の持ち主はDEAD OR ARRIVEの世界で即座に淘汰される運命にあるはず......なのだがこの者地球では意味が無く、異世界では最強という能力を持っていたのだ。


 その能力を『魔力脅威』という───

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

魔法を極め、生き延びろ! うゆ @uyu717

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ