狙え

全部が嫌になったんだ

今までのこと笑いたくなってきた

だから肘でグラスをついて

落とすまで気づかない


本当は自尊心と

虚栄心のかたまりで

それを道化師の色砂糖で

美事に隠し切って

笑顔振りまき

一人で悔しがっている


もう二度とこんなこと

嫌だと思いながら

人前では変われない

あいつはピエロ

いじり放題

そう言われるのに

慣れっこに見せてる


そんなに人の顔が怖いはずないのに

他人の目を見た途端

いきなり型にはめられて

同じパターンを繰り返してしまう


わからないんだでも

自信が欲しい


心の中のファイルから

事実を抜き出してみると

実際このまちは

ミルクなしのコーヒーカップ

つまりどす黒くって

誰も見えはしない

つまり誰も

信用できないってこと


いつだって一人でいられたら

どんなに素晴らしいだろう

周りにいる奇妙な

制服専用ハンガーを友だちと

呼ぶほどおちぶれたくはない


みんな知っている

友だちが欲しいって言う望みは

ささやかに聞こえて実は

大いなるワガママなんだ


言葉が見つからないでも

強くなりたいんだ


わからないんだでも

自信がほしいんだ


自分がこのまちで

生き残っていくために

向かってくる相手を

叩きのめすために


ピエロの仮面を

つけるのももう長くない

反撃は必ず

致命傷となるように

狙え








s600611


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る