憎しみの種

雲が太陽を覆い隠す

私が過去を隠すように

雲は太陽を包み込む

私が過去を隠すように



あの頃の私を知っている人が

みんなとても憎い

私の今の幸せを奪おうとするものは

みんなすべて許さない

そして私の秘密を暴く人

決して見過ごしてはおけない


私の心の廃墟には

既に大勢の人が集まって

新しい世界を作ろうとしている

そのことは黙って見ているけれど

あの苦しみはなくならない



「あのころの仕打ちを忘れろ」

砂漠で渇きに苦しむ身に

水をたっぷり渡されたとしても

受け取りはしない

お前らからは


「あのころの日々を忘れろ」

光を失いその日の暮らしに詰まる身に

豪勢な食事を振る舞われても

私は手をつけはしない

お前らのものには


「あのころの哀しみを忘れろ」

有り余る才能に恵まれても

それを生かすすべのない身に

小切手を切られたとしても

私は受け取りはしない

お前らからは


どこまでもいつまでも

私の憎しみの旅は永遠だ


私が無力過ぎたか

私が無知過ぎたか

相手が狡猾過ぎたか

相手が強大過ぎたか


それは今ではどうでもいい


憎しみの種は黒い哀しみの大地に蒔かれ

いつまでも私の心に根を張り続ける

枝を伸ばし幹の厚みを増し

葉を繁らせ日光を隠す

どこにいこうと

どこへ帰ろうと

私には彼らを許したくない気持ちがある


恋人は人を憎むなと

当たり前のことしか言わない


それはされたことによりけりだと

おもわない?

そんな醜い君は見たくないと言われても

私は私は憎み続ける


彼らを見つけると私の邪悪な部分が

鎌首をもたげ舌なめずりをする

私も彼らも罠をあちこちに張って

息を殺して誰かが死ぬのを待ってる


どこまでもいつまでも私の

憎しみの旅は永遠だ


私は憎むことをやめない

どこかに終わりがあっても

私には決して見えない


どこまでもいつまでも

私の憎しみの旅は永遠だ





s610426




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る