1-2

 僕はビルを出た。前を通りかかった人にちらりと見られてビクッと咄嗟的になってしまったがよく考えてみればこんなビルから出てきた人を奇妙に思うのはごく自然なことである。僕はそのまま家へと歩を進めた。

 家に帰ると力が抜けたのかどっと疲れを感じた。そしてベッドに横になった。

僕はきっと明日か長くても一ケ月以内には警察に捕まるのだろう。だが別に怖いとは思わないし、逃げようとも思わない。僕の生きる道はこれで終わったのだ。そう思うとなぜだか全身が少し浮いたような解放感を感じ、それは昼にあれほど眠ったはずなのに急に僕に強い眠気を誘う。


僕はその誘いを素直に受けた。

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