第9話突然のアウティング

隆哉との勉強の時間は私にとって本当に楽しい時間だった。


「今のところわかった?」

「んー?わかんない。もう一回説明して。」

「どこがわからなかった?分からなかったとこ言ってくれたらそこを砕いて教えるから」

「んーーー・・・・・・どこがわかんないかもわかんない。ゴメン」

「その状態でもう一回説明聞いて理解できる?」

「出来ません・・・」

「じゃあ、説明しても無駄だから次行くから、次の勉強会までに自力で解いてきて。」

「うん・・・でも、自力で解ける気がしない。」

「まぁ、解けないでしょうね。でもどこで間違うのかが分かれば対策の仕方もわかる。」

中々手厳しいが根気よく付き合ってくれてありがたい。


楽しい?勉強会が続いていたある日、家の方針で夜に私用電話ができない家だったのでバイトが終わったあとには電話をかけて来なかった充が親の留守や親の目を盗んでは電話をしてくるようになった。

母は「美穂ちゃんと一緒じゃないかな?」と誤魔化してくれてた様だが、とうとう美穂ちゃんの家にまで電話をして美穂ちゃんの在宅を確認したみたいだ。


次の日のバイト終わりに店内に残るように言われた。


「温子、俺に隠れてなにやってんの?」

「何って何?」

「俺に内緒でよっしーとコソコソ会ってるんだろ?」

「あー、その事ね。勉強見てもらってる。」

「それだけか?お前、よっしーの事好きなの?」

「本当に勉強教えて貰ってるだけだよ。よっしー理数得意だし。」

「まぁ、そんな事どうでもいいや。ただ、お前に言っておいてやるよ。いくらよっしーの事好きになっても無駄だから。」

「そんなんじゃないって。」

「よっしーは男にしか興味ねぇから。」

-この男、今何言った?

「よっしーうちに泊まると明け方俺が寝てると思って、俺の股間シゴいてる。気持ちわりぃー。」

「気持ち悪いと思うならやめてもらえばいいじゃない。」

「そこは友情ってやつ?怒ってよっしー傷つけんのはなー。」

「じゃあ、今ここで私にそんな話聞かせてる事だってよっしー傷つけるんじゃないの?」

「だって事実だし、俺は俺の女が叶わぬ恋に走らない様に守ってるだけだし。温子を守るのは俺だから、俺から離れんな。わかった?」


-やっぱ、コイツ最低だ。早く別れておくべきだった。


こんな人を好きになった自分が腹立たしかった。

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