第5話充の浮気グセ

春になりバイトに慎ちゃんが戻ってきた。

慎ちゃんは、無事に志望校に合格。

悟くんは今年は現役という理由で志望校一校に絞り撃沈・・・

「あ〜!!クソー!!イケると思ってたのにー!!」

ここ最近、こればっかりだ。何度聞いたかわからない(笑)


新学期も始まり、充はサークルの新歓コンパなんかで、バイトを休む事が増えていた。

その間も、私は楽しく働いていた。

「あれだけコンパとか行かれるとヤキモチ妬いちゃわない?」と、美穂ちゃんは聞いてくるけど、

そもそも私は、独占欲とか嫉妬心という可愛らしい感情は持ち合わせていない。

というか、そういう感情をどう表現すればいいのかが今一つわからない。

「別に、妬いたりはしないかな?」

「あっちゃん余裕だねー。」

絵里さんが茶化す。

「余裕とかそういうんじゃないですよ。」

「この辺がザワザワーとかならないの?」

と、美穂ちゃんが胸の辺りを掻きむしる様なゼスチャーで聞いてくる。

「んー??なんない。」

「あっちゃんすごーい。美穂なんて彼が他の女子と話してるだけで無理ぃー。」

そんな事でいちいちザワザワしていたら

身が持たないと思ったが言わないでおこう。


そんな日がひと月半ほど続いたある日、

充からバイトが終わったら話があると言われ

みんなが帰った後の店内でいきなり別れ話を切り出された。


充が言うには、いまはまだ私が好きだけど、気になる女の子が居る、その他にも言い寄ってくる後輩も数人居て、その子達も気になる、そんな気持ちで私と付き合い続けるのは私に失礼だと思う。という事だった。


-別れたくない。


私自身、充の事が好きという気持ちは確かだった。

でも、それ以上に充と別れることによって、

バイトのみんなと離れるのはもっとイヤだった。






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