仲間になりたそうに、こちらを見ている?

「オレサマの虫歯に気付いたんだろ? 見てくれよ、ホレ。キレイになってるだろ?」

 ミミックは大口を開けた。


 確かに、歯には虫食いの後もない。口の中もキレイだ。どんな構造になっているのか、囓った骨の類はどこにも見られない。


「それだけじゃないぜ。ぶへえ!」


 ミミックが、さっき囓り潰したスケルトンを吐き出す。


 なんと、スケルトン達が漂白されていた。

 真っ白になったスケルトンの群れは、また俺の命令通りに掃除を始める。


「おお、元に戻ってる」


「どういうわけか、瘴気だろうが何だろうが、浄化できるようになったんだ」


 コイツが元に戻ったのは、口に放り込んだ虫除けのおかげかも知れない。


「マーゴットはどこだ?」


「わからねえけど、親玉の所に行ったのは確実だろ?」

 やはり、一人で敵のボスと戦う気か。


「あいつ、戦闘力とか高いのか?」


「火力より策略重視のスタイルだから、生き残る率は高いと思う。まともに戦闘したら辛いけど。それに体力だってあんまりないから心配だよ」


 パイロンの説明を聞く限り、状況は不利だと思われる。


 なら急ごう。もし捕まったりしていたら厄介だ。


「マーゴットを連れ戻しに行くぞ」

 俺は一度挫けそうになった。もう逃げたりしない。


「オレサマも付いていくぜ」


「いや、お前には仕事を頼みたい」


「お、そうか? 何でも言ってくれよ」


「スケルトンを正気に戻したい。協力してもらえないか」


 城じゅうに充満した穢れによって、配下のスケルトンが使い物にならなくなっている状態だ。彼らを元に戻せれば、原因究明と掃除を同時に進行できる。


「見たところ、今のお前はガイコツを浄化できる。瘴気が体内に充満するわけじゃないみたいだし。お前なら、ガイコツ共を浄化できるんじゃないかと思う」


「お安いご用だ、ニンゲン。俺様は片っ端からガイコツを食って回ればいいんだな?」


 俺はカバンから、ありったけの防虫剤をミミックに渡す。


 ミミックは口で受け止めた。


「予備の防虫剤だ。お前の仲間に食わせてやってくれ。多分、元に戻るはずだ」


 仲間のミミックに食わせて、スケルトンの浄化に取り組むよう、段取りを教える。


「ありがてぇ。んじゃ、ちょっくら行ってくっかな?」


 ミミックは飛び跳ねながら去って行く。


「これからどうしよう」


「まず、スケルトン全員を元に戻す」


 敵の本丸に乗り込む前に、城の安全を確保しなければ。また、期日まで二週間しかない。できるだけ掃除も終わらせる。


 幸い、頼もしいサポートが増えた。これでだいぶ楽になる。


 この調子で、掃除と併用して城の探索を開始だ。

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