踊る衣装部屋戦線

 ガイコツ共の浄化作業を初めて数日、スケルトン浄化作業は、順調に進んでいる。


 俺は天然成分配合の洗剤が詰まった水鉄砲をスケルトンに撃ちまくる。


 穢れにまみれたスケルトンが、洗剤のパワーで元に戻った。接近戦に持ち込んできたスケルトンには、ハンガーストッキングが待っている。


 浄化されたスケルトンが、操られているスケルトンを中性洗剤で浄化していく。これら一連の動作を繰り返し、味方を増やしていった。おかげで、被害は最小限に食い止められている。


「あんまり好戦的じゃないよね。このスケルトン達」

「俺の分身だからな」


 本当に掃除以外からっきしだからな、俺は。


 瘴気も城全体にまでは充満してないようで、上に行くほど大した被害は出ていないようだ。


 これなら、浄化されたスケルトン達に任せて大丈夫だろう。


 しかし、油断はできない。城の地下へ行くほど被害は拡大している。


「着いたぞ。衣装部屋だ」


 最深部までの通り道にある衣装部屋は大変な事になっていた。


「あああ~ご覧になってぇ。こんなにも服が散らかっているの~」


「これじゃ踊れないわぁ~。アラララ~」


 パイロンのドレスを来た亡霊共が、フヨフヨ浮いている。解説をしながら社交ダンスを踊っていた。


「こいつらは?」

「ウチの近くに墓地があるんだよ。穢れを吸って、墓地に住んでいた亡霊が実体化したみたい」


 散らかっているというか、自分たちで散らかしている。亡霊共は身体がないから服を着れない。なのに無理して着ようとしているのが原因だろう。


「ラララ~お片付けできれば踊れるのにぃ~」


 落ち着きのないステップで、亡霊たちはピョンピョン跳びはねる。


 まとめて相手にするとなると埒があかない。


「元の位置に帰りたい~」

「出しっ放しだとホコリが~」


 文句があちこちから聞こえてくる。


 こうなった原因は、ポールだった。瘴気を含んだホコリが、びっしりと積もっている。衣装ではなく、ポールを使ってまとめてモンスター化させたらしい。


 ストッキングハンガーで、ポールを磨く。水拭きと乾拭きでダメ押し。スケルトンにも指示を出し、別のポールにも同様の処置を施す。


 すべてのポールが、キレイになった。


 だが、これで片付くわけではない。

 服の量が、少し増えている気がした。


「お前、買い足しただろ?」


 心当たりはある。フリマだ。


「だってえ、ちょっとイイ感じだったんだもん!」


 パイロンが弁解する。


「見てよ、このベビードールなんてさあ。淡いピンクでネコミミまで着いてるよ!」

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