ゴミモンスター復活!

「どうしたんだ?」


「あの、爽慈郎さま、今、なんと?」


 みるみる、パイロンと真琴の顔が青くなっていく。血の気がスッカリと引き、「あわわわ」と頭を抱え始めた。


「だから、地下に書かれてた落書きを消したって」


 俺の発言に、ますますパイロンがゾッとした表情になる。


「ヤバイヤバイ……ヤバイよぉ」


 何があったというのだ?


「爽慈郎さま、落ち着いて聞いて下さい。あなたは、モンスターの封印を解いてしまいました」


 実は、あの地下室には、パイロンがふざけて召喚した、最大級のモンスターが封じられていたという。

 その力は凄まじく、あらゆる物質に命を吹き込むことができるらしい。


「我々は、部屋を片づけています。つまり」

「ゴミにも取り憑くてワケか?」

「その通りです」


 ならば、これから片付けようとしているゴミの山もターゲットってわけだ。


「どれくらい強いんだ?」


「出入り口を封印してたくらいだもん。手に負えなかったよ!」


 パイロンが言葉を終える前に、地響きがした。立っていられないほど、地面が揺れる。


 城から、爆発音のような音が轟く。


 爆風で、俺たちは吹き飛ばされそうになった。


「なんだ!?」

「魔物が復活したんだよ!」


 気がつけば、空中に紫色のホコリが舞っている。


「あれは?」

「あれが魔物の放つ瘴気なの。あれに触れられたら、何もかもたちまち悪いモンスターになっちゃう!」


 言ってるそばから、ホコリが中庭のバラに付着した。


 紫のホコリが付いたバラから、歯のような物が見える。笑っているのだ。バラが笑いながら、トゲの付いたツタを激しく暴れさせる。


 どうやら、パイロンの言うことは本当らしい。


 俺は手を引かれ、中庭から部屋へ向かう。


 だが、俺の足首にツタが絡みつく。俺は足を取られ、転倒してしまう。


 すぐ近くには歯をむき出しにして笑う巨大バラが。それも、一つや二つではない。何一〇体のバラが同じように笑いながら俺に近づいてくる。


 食われる、と思った瞬間、バラが真っ二つになった。


「助かった、クヌギ!」

 光の剣を構え、クヌギがバラの群れに立ち向かう。


「クヌギちゃん!」


 パイロンも炎の魔法で立ち向かうが、数が多すぎる。しかも、相当強い瘴気らしい。パイロンの力を持ってしても潰し切れていない。


「この場はそれがしに任せて、皆は城内へ」


 単身バラに挑むクヌギを置いて、俺たちは城の中へ。


 だが、俺たちの前に無数のガイコツが道を塞ぐ。


「スケルトンまで操られているのか!」


「下がって、爽慈郎!」


「ここは、私めが」


 パイロンが真琴と魔法を詠唱した。

 火炎の渦に飲み込まれ、ガイコツが吹き飛ぶ。


「わたしの部屋まで急ごう」

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