パイロン自室、おそうじ完了!

「異世界にトラック?」


「地球のインフラは、地球だけの物ではありませんよ」


 ゴミ処理場まであるのか、魔界は。


 エンジン音が遠くから聞こえてきた。

 緑色のトラックが、魔王城の前に停まる。

 一つ目のモンスターが現れて、ゴミ袋をトラックに積んでいった。


「では、第一陣はこれで行って下さい」

 真琴の指示で、山ほどゴミを詰め込んだトラックが帰って行く。


 スケルトンだが、かなり便利だな。

 これなら、一ヶ月で十分間に合いそうだ。


「よし、この調子でパイロンの部屋も片づけてしまおう。スケルトンを増やす」


 スケルトンを一〇体だけ増員し、パイロンの部屋へと向かう。


 スケルトン軍団と共に、パイロンの部屋の掃除に取りかかる。


 俺とガイコツ五人で部屋を掃除、残りはゴミ運搬係だ。


「パイロン、PC周りの片付けはこれでいいか?」

「いいよー」


 しかし、スペースが空いた瞬間、パイロンはコタツに潜り込む。


「PC周りが片づいて早々ネットサーフィンするな! 働け!」


 そんなやりとりをしつつ、時間はあっという間に過ぎていく。


 六時間は掛かると思われた掃除が、スケルトン掃除班の働きもあって、三〇分で終わらせることができた。


「よし、これでリスポン地点の準備は完了だ」


「うわあ」と、パイロンが感嘆の声を上げる。


 俺がやったことといえば、数千体スケルトンを増やしただけ。あとは勝手にスケルトンが片づけ始めてくれている。実に優秀なスタッフだ。


 棚は空になり、服もタンスにしっかりと全部収まっている。

 

 小物類も不要な物は処分し、必要最低限な品だけ保存という形になった。

 

 書類関連など必要な物も、収納が完了している。


 ベッドも、物置状態からすっかり解放された。もうコタツで寝る必要もない。


「すごいすごい! ベッドで寝られるよ。マーゴット! ホラホラ!」


 ベッドにダイブして、パイロンが何度も跳ねる。『ベッドで眠れる』というごく当たり前のことで、子供のようにはしゃぐ。


 足の踏み場もなかった部屋が、たった数時間で身体を横にできる程に片付いた。絨毯の柄も、きっちりと拝見することだって可能だ。


 どんな汚部屋だって、人さえいればどうにか片付く。それが立証された。


「あと、棚を見てみろ」

「棚?」


 パイロンが棚に目を向ける。


「あ、これって、アクセサリじゃん」


 棚の骨組みに、処分予定だった小物を多少使わせてもらった。


「すっごい、写真立てにも!」


 木製写真立てにも、同様の処置を施してある。


「でも、どうやったの? 糊も画鋲も使ってないよね?」

「これを使った」


 俺は、ビニール袋に入った市販の細長いゴムを取り出す。

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