スケルトン軍団、始動!

 早速試運転をさせてもらおう。

「スケルトン、城の各フロアを清掃しろ」


 俺が指示を出すと、スケルトン達が何も言わなくても部屋を飛び出した。

 かと思えば、ゾロゾロと各ブロックへ移動していく。


 モップを持ったスケルトンは廊下を磨き、デッキブラシを持ったスケルトンはトイレに直行し、雑巾とバケツを持ったスケルトンは壁や窓を拭き始めた。

 

 俺は、スケルトン達には洗剤やゴミの分別など、専門の知識を教えてない。


 にも関わらず、スケルトン達は俺の持つ掃除や片付けのノウハウを全て把握していた。


 魔法式モニターを窺う。けれど、俺が指示を出すまでもない。むしろ手持ちぶさたである。かなり細かい動作なら指示を出さないといけないレベルだが、指示を出すタイミングは今の所なし。


「えらい優秀なんだが?」


「素体が爽慈郎様ですから。他人の細胞を使ったなら、上手くいきませんでした」


 だが、ここで問題が生じた。廊下の天井に溜まっているホコリを落とすことができない。


 あろう事か、スケルトンが壁をよじ登り始めた。天井に取り付いて、無理やりハタキでホコリを落とし始める。


「おいおい、落ちないよな?」


「爽慈郎様の身体能力次第です」


「意識を共有って事は、こいつらが死んだら俺も死ぬって事か?」


 だったら、危ない作業はできないな。


「大丈夫です。痛みや疲労などは共有していません。あくまでも掃除の知恵のみです」


 安心した。これなら人員不足は解決できそうだ。


「ちょっと心配だから見てくる」


 天井から埃を落とすガイコツ共の元へと向かう。


 ガイコツは特に危なげなく、シャンデリアに取り付いてホコリを払っている。


 マスクとゴーグルをして、床に落ちたホコリを見渡す。


「よし。これくらいでいいだろう」と、ガイコツに撤収を指示した。


 俺はポケットから輪ゴムを大量に取り出して、床一面にバサッと撒く。その後、ホウキで掃いた。


「これは何の効果が?」


「輪ゴムがホコリにへばり付いて、ホコリが舞わないんだよ」


 ここにはシャンデリア以外にコンセントがないから、掃除機を動かせない。

 この方法が、最も効率よくホコリを集められるのだ。


「石造りの床ですから、そのままモップがけをすればいいのでは?」


「それだとモップに埃が付いてしまって、結局モップも洗わないとダメだ。モップがけは、まずホコリを落としてからだな」


 掃き取った後ろから、スケルトンにモップを掛けさせる。ゴミを袋に詰めさせて、外へ運ぶ。


「業者を呼ぶっていっていたが、この後どうするんだ?」


「トラックを呼んでます」

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