自らが戦場をこの目で直視しているような、作者の筆致にまずは圧倒されます。その濁流に飲まれるまま、体感を強いられる、男たちの凄惨な戦い。そこは剥き出しの欲望と大義が絡み合う世界。ファンタジーという括りだけで読み進めようとすると、大火傷する作品です。読み進めるほどに心震えます。ですがその中で生きる人間の在り方に、いつしか目を離せなくなっている自分がいるのです。
ダークファンタジーを冠するに相応しい圧倒的なまでの描写力!物語を貫く暴力と残忍さが読者の目を釘付けにすること間違いなしであろう。この群像劇を描き表す戦記物を、血の滴るほどまでに繊細に表現した作者に脱帽です。人間同士の戦争を、ご一読あれ!!
色々な武器や戦略、常に緊張感漂う雰囲気が面白いです。そして世界観設定や文体。とても分かりやすい。今後の展開に期待!!
二百年前の危機──「東からの厄災」に端を発した群雄割拠の戦乱は、教会と帝国の二大陣営に収斂した。帝国の虐殺に、教会は大規模遠征で応酬する。戦争は激化の一途を辿り、両陣営は破滅的な戦いへと突き進んでいく……。舞台のモチーフは、近世のヨーロッパであろう。ヴァレンシュタインやグスタフ・アドルフ、マスケット銃が大好きだという人たちには、必ず刺さるものがあるはずだ!